幸せ=シアワセ? (ちょっとホラー?)
〈青空斗雨真(あおぞらとうめい)の記憶〉 昔から空が好きだった…気がする。昔のことはよく覚えていない。いや、正確には『忘れてしまった』の方かな? 俺…青空斗雨真は記憶喪失…らしいね?何にも覚えていない。親が来て「大丈夫?」とか「ごめんなさい!」とか言っていたけどなんのことかわからない。いやそもそも親なのかさえね。 そしてお医者さんからある程度の情報は伝えられた。 青空斗雨真…15歳、スポーツ大好き、部活帰りに事故にあって記憶を失ってしまったらしい…が覚えていないな… お父さんは「斗雨真。段々と思い出していけばいいよ。お前は俺たちの息子だ。」と言っていた。まあ次第に思い出せはいいよ。記憶喪失だけどたかが15歳、未来はあるんだ。 俺はまた空を見た。何故だか空が好きなんだ。 〈青空真明(あおぞらしんめい)の記憶〉 病院から電話がかかってきた時はびっくりした。そして、受話器の向こうの声を今でも覚えている。 『もしもし、青空斗雨真さんのご自宅でしょうか?今……』 内容を聞いてびっくりした、と共にすぐに病院に向かっていた。しかしついたときにはもう遅かった。斗雨真は空へ逝ってしまった。 俺は後悔しかなかった。今日の朝まではあんなに元気だった、大会に出れるとワクワクしていた、いつも笑っていた、そんな斗雨真はもう…帰ってはこない。仕事を切り上げてきた母さんは泣いていた。 しかし俺は諦めてはいなかった。ある人体の蘇生を研究している場所に行って研究者に話した。『どうにか斗雨真を戻してやれないか。金はいくらでも出す!』と。研究者の人は『わかりました。できるだけやってみます。』といった。 俺は何年も何年も研究に協力した。斗雨真が帰ってくるなら…と。しかし、問題が発生した。脳が蘇生できないくらいひどい状態だったのだ。だが、研究者の人は『15歳の子の脳を使いましょう。大丈夫です。もう帰ってこない子の脳を使いますから。』と言った。ただし、別の人の脳を使うため前の記憶がなくなり、別の子記憶になってしまうらしい。もちろん前の子の記憶は消去はするが完全には無理らしい。それでもよかったんだ。蘇生手術の日、俺と母さんは手術室の前で待っていた。やっと出てきた人からは成功と言われた。俺たちは膝から崩れ落ちた。そして何度もありがとうといった。 もう髪は白くなり、手はシワだらけになってしまった。 ベットに乗って空を見ている斗雨真を見て泣きそうになった。 俺は何度も斗雨真に謝った。そしてこう言った。 「斗雨真。段々と思い出していけばいいよ。お前は俺たちの息子だ。」 忘れてしまってもいい。 俺たち家族は永遠なんだ。 〈藤崎俊(ふじさきしゅん)の記憶〉 空が大好きな15歳の俺は突如誘拐された。そして暗い部屋の中、ベッドにくくりつけられた。 「なんだこれ!はなせ!」 「君を有効利用させてもらうよ。」 「どういうことだよ!」 「うーん…脳をね。」 「はぁ?」 「せっかく高い金を払ってくれているだからそれなりの脳をもらわなきゃね。」 さっきまで話していた人とは別の人が出てきて俺に注射をした。 「なんだこれ?!」 「ふふ、ご協力に感謝するよ。では少しおとなしくしていようね。」 だんだんまぶだが重くなっていく。寝ちゃいけないとわかっていても眠たい。 「は…な…せ…」 視界が真っ暗になった。 これが最後の俺の言葉だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 幸せは誰かの苦しみで成り立っている そしていつかは壊れてしまう あなたの幸せはいつ…壊れて…?