短編小説みんなの答え:1

スノードロップ・アンド・ハルシネーション

「さようなら。好きだった。」  あいつはそうやって、どこかに消えた。  最後に見たあいつの顔が忘れられないんだ。そしていつか、俺もあんな風に。 「お前、N221が消えてから元気無いな。」  そう言ったのは同居しているN223。ずっと、ずっと一緒にいた、俺の幼馴染的な存在。 「そうか…?俺はあんまり変わらないような気がするけど。」 「いやいや、周りから見たら心配だよ。ほら、237ちゃんとかすごい心配して泣いちゃってたよ。」 「泣っ…!?それは申し訳ない気持ちも…。」 「だろ?」  すると、スーッ、と外から音がして、周りが暗くなった。 「今日ももう終わりだな。また明日な。」  N223はそのまま彼の部屋へ戻って行った。  俺はまだ此処で外を眺めていた。  ___222くん?  あ。  彼女の声だ。  彼女の影は此方に向かって可愛らしく微笑んだ。 『忘れないで、私のこと。奴らへの憎しみも。後悔も。覚えていて。』 「ああ、もちろんさ。忘れる訳ないさ。」  幻覚なのも分かっている。  俺の自己満足さ。こうやって許された気になっている。  俺じゃあ奴らに抗えない。運命にただ従うだけ。  だから俺が消えた後、呪ってやるんだ。  彼女の幻影に背を向けて、部屋に戻った。  部屋から出たら、"異変"があった。 「……N223?」  壁に頭をぶつけて倒れていた。  珍しいことじゃない。このままだと奴らに回収されていくだろう。 「くそ…俺ももうダメかな。」  N221の幻影も、奴らのせいかもな。  俺は、あいつの毛は今まで見た中で、いちばん綺麗だと思った。  だから、消えないでほしかった。いなくならないでほしかった。  何より、ハッピーエンドで終わりたかった。  あー、頭がふらふらする。  よかった、やっと俺の番か。  大きな大きな手が伸びてきて、宙ずりで、浮かぶ。  意識の紐が切れる時、影じゃない、幻影じゃない、あの子が見えた。 「あー、やっぱこの薬はダメっすね。もっと改良を重ねないと。」 「にしてもこいつ、幸せそうな顔してるよなあ。」 「今そんな話ですか?早く実験を再開しないと。」 「今までこんな奴はいなかったから面白いと思ってな。」 「……そうですね、ネズミにしては。」

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