裏切りのケーキ
街で一番美味しいケーキ屋のケーキを前に、ニヒヒと笑う。 「絶対わらえなくしてやるんだから。待っててね。」 残酷な目には、わずかな悲しみと、それを超える憎しみがあった。 _____ 学校の校門の前で、今日も瑠奈は立ち止まった。 「今日は、どっちと仲良くしよっかなー」 瑠奈は、制服のリボンをいじりながらつぶやいた。 芽依ちゃんか、佐奈ちゃんか。 それはとても難しいことのようで、簡単なことでもあった。 瑠奈は、友達の中で優先順位を作っていた。 一位は、最近、芽依ちゃんと佐奈ちゃんで揺らいでいた。 しかし、最近は芽依ちゃんのほうが大切になっている。 佐奈ちゃんって扱いやすいし、優しくて気が弱い。ヘラヘラしてて気持ち悪い。 芽依ちゃんは一緒にいて楽しいんだもの。 今日も、芽依ちゃんといようっと。 _____ 「おっはよぉ」 友達の瑠奈が来た。あーあ、めんどくさい。 「おはよ」 「ねぇねぇ、芽依ちゃん。宿題どうだった!?二番、ぜんっぜんわかんなかったぁ」 ぶりっ子で、値踏みするような目。男子には特にぶりっ子。 正直、縁切りたい。 「うーん。あれ、式が二つで、一つ目の答え出したら大丈夫だよ。」 適当に答え、ドアを見ると、連が入ってきた。 「そぉかなぁ。あっ、連くぅん。あのねぇ」 瑠奈はぴょんぴょん飛び跳ね、上目遣いを忘れず、艶めかしい声を出した。 今の好きな人に向かって。 瑠奈も、芽依も連が好きなのだ。 瑠奈は結構オープンにしてるけど、芽依は一人しか言ったことがない。 芽依は、親友の下へ向かった。 _____ 「さっちゃん。」 芽依が来た。 また好きピの話ですかぁ。 「何?どーしたの。」 「佐奈ぁ。連くん、やっぱりだめかも。」 最近の芽依の話題は”連”である。 佐奈の双子の兄が、連なのである。だから、佐奈と友達になったと言っても過言じゃない。 「だからぁ、お兄ちゃんは恋愛とか表に出さないタイプだから。」 仕方なく進言し、聞こえないようにため息をついた。 私のことなんて一ミリも考えない、薄い友達関係。 どうせ、連しか見えてないのだ。 佐奈は、避けられ始めた、唯一の親友の瑠奈を見た。 _____ 日に日に、三人の関係は濁っていく。 瑠奈は、佐奈にいじめをし始めた。 あざ笑い、物を隠し、秘密をバラした。 芽依は、瑠奈を見捨て、連に告白した。 かつての瑠奈のように、彼のことしか見えなくなった。 佐奈は、芽依の彼氏である兄に、芽依の悪い噂を流した。 芽依の悪いところを言い、ありもしないことを言った。 そして三人は思った。 ___あいつを、地獄に送ってやろうと。 三人とも、三人の大好きなケーキ屋のケーキに、理科でならった 毒になるものを、理科室から盗み、混ぜ込んだ。 三人とも笑顔になってケーキを渡し、疑いなくケーキを食べた。 そして… しばらくたったある日、クラスのホームルームで。 「瑠奈さん、芽依さん、佐奈さんが行方不明です。」 先生が真っ青になって言った。 全員がびっくりして、海のように顔が青くなった。 一人を除いて。 「ばっかみたい。お前ら全員地獄行きだよ。」 連ひとりは、三人をあざ笑った。 「お前らってほんとバカだよなぁ。全部、俺が仕組んだってのに。」 理科の授業で毒の授業になるようにお願いしたのも、芽依と瑠奈に やたら優しくしたのも、妹にケーキの美味しい店をあらかじめ教えたのも。 全部、連が仕組んだ。 「っはははははは!ぷっはははははは!」 ひとり、三人のことを誰よりも知っていたのは、連だった。 *おしまい* どうだったかな? コメント、アドバイスよろしく!!