君と、ずっと、一緒にいたかった。「ハムスター目線のお話」
ボクは2歳のハムスターだ。名前はおもち。ボクの飼い主は、とっても優しい女の子、由里風 美久(ゆりかぜ みく)ちゃん。小学5年生なんだ。 ある日。 ボクはいつものように、すやすやとお昼寝していた。 今日は、回し車で走る夢を見ていた。 すると突然、聞き慣れた声がした。 「おもち、また回し車、回す夢を見ているの?」 ボクは、「あれ……?」と思って、ベッドに寝転んだままうっすら目を開けた。 ボクは、人間には聞こえない、「超音波」でこう言った。 「美久ちゃん、いつの間に学校から帰って来たの?」 そう。最近なぜか、美久ちゃんが帰って来たのに気づかないんだ。 今までは、毎日美久ちゃんの香りで、目が覚めたんだ。 でも、最近、体のいろいろな部分が、思うように動かなくなったんだ。 ボクもそれがなぜかは知っている。 そう。ボクは、寿命が近づいてきているんだ。 ボク達ハムスターは、2年位しか生きられない。 ボクもそれ位のことは知っていた。 でも、実際に「その時」が近づくと、こんな気持ちがどんどん湧き上がってきた。 それは、「美久ちゃんと、ずっと、一緒に、いたい。」という気持ちだ。 それから数日後。 ボクは急に、「あの時」を思い出した。 -時はさかのぼり2年前- ボクはハムスター。名前はまだ無い。 この日、ボクは新しい飼い主の家にやって来た。 新しい飼い主は、こう言った。 「私はね、由里風美久。君の新しい飼い主だよ。それで、君の名前は「おもち」にしたんだ」 そしてボクは、美久ちゃんに出会った。 それと、もう1人出会った人がいた。 それは、もうおじいさんのハムスター、ハム吉だ。 ハム吉はたしか、ボクによくこう言っていた。 「わしはもうすぐ、「楽園」って言う場所に行くんだ。そこはすごく楽しい場所で、おっきな回し車とか、おやつがたくさん入っている小屋とかがあるんだ。」 ボクは初めてその話を聞いた時、こう答えた。 「へー。ボクも、その「楽園」に行ってみたいな!」 でも、ハム吉はこう言った。 「でも、そこに行くには、大好きな飼い主さんと別れなきゃいけない。しかも、君が行けるようになるには、何年もかかる」 「えー。」 それから数日後、ハム吉は静かに息を引きとった。 きっと今、楽園に行って楽しく過ごしているんだろう。 そして今。 ボクはこうつぶやいた。 「ボクもそろそろ、その「楽園」に行く日が来るのかな?」 それからさらに数日後。 ボクにもついに、「楽園」に行く日が来た。 ボクは、泣きそうになっている美久ちゃんの膝の上で荒い息をしていた。 すると……。 「おーい!」 遠くから、ハム吉の声が聞こえた。 そうか。この時、ボクは理解した。 ボクは、ハム吉のいる「楽園」に、今から行くんだ。 それから数10分後、ボクは息を引きとった。 それから、ずっと泣いている美久ちゃんに、ひとつだけ、言いたいことがある。 それは、「ボクも、ずっと、美久ちゃんと一緒にいたかった。けど、まだ会えるから。美久ちゃんがここにくれば。だから、泣かないで。ずっと、美久ちゃんのこと、忘れない。ずっと、大好きだから。」 ボクは今、楽園にいる。 ハム吉と一緒に、おっきな回し車で遊んだりしている。 「美久ちゃん、ボク、美久ちゃんのこと、忘れてないよ。だから、いつか来てね。また、会おう!」 ボクは、小さな声でつぶやいた。 終わり 感想やアドバイスなどありましたら教えてください。 最後まで読んでいただきありがとうございます。