短編小説みんなの答え:4

君の後ろは特等席

「彩花、今日も日サロ行くだろ?」 丈の短い学ランにダボッとしたボンタン。 ボリューミーな髪型はひと目見ただけで誰もが裸足で逃げ出すほどの威圧感がある。 実際、優斗はこの街で一番のヤンキーだ。 「もちー。行くに決まってんじゃん。今日も優斗のバイク二人乗りね」 とかいうウチも、自ら近づくものは命知らずと言われるほどのレディースの総長。 親から貰ったお金で放課後に日サロに行き、帰りはそこら辺を彷徨いているヤンキー達と遊ぶのがウチラの日常。 優斗のバイクの後ろにはいつもウチが乗っている。 他の人を乗せているところを今まで見たことがなかった。 今日もまた、優斗の隣でいつもと変わらない日々を過ごす。 日サロからの帰り道。 ちょうど遊びに向いてそうな集団を見つけた。 早速優斗が声を掛ける。 「おい、てめーら! ここが誰の道が分かってんのか!? 我が物顔でふらついてんじゃねーぞ、コラ!」 バイクを蒸しながら近づいてくる優斗に怯えた集団はか細い悲鳴をあげて一目散に逃げていった。 「ちょ、ウケるww あいつら本気でビビってんじゃんwww」 「遊びたりねーよなww まぁ、次行こーぜ」 これがウチラの日常。 中学、高校とずっとこんな感じ。 優斗との日々は本当に楽しくて、こんな日々がこれから先もずっと続けばいいと思う。 ある日、そんな何気ない日常は唐突に幕を閉じるなんて考えたこともなかった。 「優斗ー。なんか優斗に挑戦状来てんだけどこんな命知らず、まだいたんだねww」 「『今夜2時に体育館裏に来てください。最強と謳われる優斗さんと彩花さんと戦ってみたいです』だって。いーじゃん、どこの誰だか知らねーけど、俺らには準備体操みてーなもんだろwww」 「ウチは今日レディースの集まりあるから終わってから合流する。まぁ、優斗一人で余裕だろうけど。命知らずの顔見てみたいから」 「止指すの待っといてやるからのんびり来いよ」 なんやかんやで集まりが終わり、深夜2時半。 隣町のヤンキーを倒し、血に染まった手でポケットからスマホを取り出す。 二十分前に優斗に送ったメールはまだ既読がついていなかった。 さっきから何と無く胸騒ぎがする。 小走りで学校へと向かうウチの頬を、冷たい夜風が嘲笑うように撫でていった。 「優斗、どうだったー?……え、優斗!?」 体育館裏、日の当たらない湿った草むら全体が真っ赤に染まる程に血を流して優斗が倒れていた。 急いで救急車を呼ぶ。 優斗の口元に耳を近づける。 目線の先に映るお腹は動いていない。 優斗は息をしていなかった。 優斗が病院に運ばれて今日で二ヶ月が経とうとしている。 あの日から優斗はずっと眠っていた。 「優斗……目覚ましてよ。声が聞きたい。いつもみたいに名前呼んでよ!」ベッドの上に横たわる優斗の手を握る。 すると優斗の手がゆっくりと動き、握り返された。 「……あや…か?」 「優斗…! よかった。死んじゃったらどうしようって……思って」 突然の出来事に嗚咽で言葉が途切れる。 「安心しろ。俺は死なねーよ」 「本当によかった……」 「もう泣くなよ。また一緒に出かけよーぜ。俺のバイクの後ろは彩花の特等席だからな」

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