幼なじみ
『幼なじみ』 その言葉を俺は何度自分に言い聞かせたのだろう……。 今まで当たり前のように、ずっとそばにいて、これからだって、ずっと一緒にいたのに。 お前にとって俺は、『幼なじみ』ただそれだけの存在。それ以下でもそれ以上でもない。 いつだって、どんな時だって、お前のその笑顔は、他のどんな男より、俺が一番近くで見てきたんだ。 そんなことに自信持っても仕方ないことなのに、それでもそれだけで、ただ嬉しかった。 それなのに、いつからお前は、俺に笑顔を見せなくなったんだろう??お前は誰の前でなら笑顔になれるんだ?? 『結婚するの……結婚式には来てくれる??』 久々に見たお前の笑顔は、そんな報告を聞きながらのことだった。やっぱり好きだったのは俺だけ?? 思い続けていたのも俺だけ??悲しさより、なんだか寂しい思い。これが今の俺達の距離。変えられない現実。 『おめでとう』の言葉は、どうしても言えなかった。まったく……俺はどこまでも情けないね。 今日の今日まで、俺はお前にこの気持ちを伝える勇気さえなかった。ホントはさ、お前を誰にも渡したくないよ。 俺はお前だけをずっとずっと見てきたんだから。どうしてお前じゃなきゃダメなんだろう?? なのに、どうしてお前は俺をみてくれないの?? 『結婚式、ぜひ出席させてもらうよ…』 どうして俺はこんなこと言ってるんだ?? 言いたいことは違うのに、お前のその笑顔を見たら、俺はもう他には何も言えないよ。 真っ白なベールに包まれて、ウェディングドレスのお前。透き通るほどに白い肌に浮かぶ、お前の唇。ピンクの口紅。 ほんのりと赤く染まる頬。そして、細い薬指にそっとはめられたリング。もうお前は誰かのもの。 俺には手の届かない『幼なじみ』太陽の光に負けないくらい、キラキラとした幸せな2人に、 あふれるほどの拍手と歓声。ここにいる誰もがお前を祝福している。 お前は色とりどりの花に囲まれながら、お前の選んだ愛する男と、何度も何度も繰り返しキスをした。 そんな中、こんな苦しい思いでいるのは、きっと俺だけだろうな。 青空の下、お前はブーケを空へと投げる。 俺の見たことのないような、その穏やかな表情を見れば、俺にだって分かる。 お前はその隣にいる男を、愛しているんだってこと。 それでも俺はまだお前に、『おめでとう』が言えそうもないよ。男らしく、気持ちを切りかえて、心から言えたらいいのに。 そして俺は一人、式場を出た。後悔ばかりが俺を包み込み、思い出すのは、幼い頃の遠い約束。 『大きくなったら僕のお嫁さんになってね』 『うん。いいよ』 『やったぁ~!!約束だよ』 『うん!!約束ねっ』 お前はもうそんな約束なんか忘れてる。きっと俺だけ、まだあの頃のまま。 立ち止まり、前に歩き出していないんだ。お前はこうして自分の道を着実に進んで行こうとしているのに。 俺はポケットから携帯を取り出し、お前にメールを送った。 【結婚おめでとう。幸せにな!!】 言えなかったこのひと事に、思いを込めて、そっと送信ボタンを押した。 お前のことは、 『ただの幼なじみ』 そう言える、そう思える日が来るまでは、もう少しだけ、このまま、 このままの俺でいても……いいよな??
みんなの答え
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せつな!
こんにちは♪モルモットの莉向だよっ\(≧∀≦)/ 切ない… 「俺」も、新しい恋ができるといいね! 参考になるといいな! ばいちゃ♪
切ない
ハロー!色々だよ! 本題 切ないなあ このままの、俺でいていいよ また書いてください! じゃあね!
すごい
切なくてすごかったです