壁の落書きで出会ったあの人
僕はマイザー 図書館司書をしている 今日も閉館まで図書館に残っていた 鍵をして、確認してから帰り道を歩いた 「…?」 この壁に絵なんてあったか? 壁には大きな木の絵があった、綺麗な林檎を実らせている 帰りに林檎を買おうかな 3日後 絵を描いた人の正体を知った 描いている所に出くわした 描いてた人の名はレース 誰もが通るこの大通りに落書きするのが趣味らしい 理由はなんとなく 呆れるような感心するような… とはいえ彼女の絵のさ優しいタッチは個人的に気に入ってたので仲良くする事にした 数年経って、レースともっと色んな事がしたいと思うようになった 毎日楽しかった、人生って絵が生活の中にあるというだけでこんなにも明るくなるものなのか ある日、レースの家を訪ねた時 ドアノブにかけられた看板が目に入った 『マイザー、私の仕事場が倒産しちゃった、だから仕事を探すためにここを出る、もう何度も落書きの事で怒られて追い出されてたから、あそこしか無かったんだ』 僕は信じられなくて、レースが描いた落書きの場所を全て巡った そこにはレースの絵は無かった 視界が眩んだ 僕の人生の色が失われていく感覚があった そしてそれが元通りにはならない事もわかった 右手のキャンバスを地面に叩きつけて 泣き笑った レースがいなくなっただけで人生を楽しめない自分を笑った、呪った 僕が芸術家になったのはその後だ どうして芸術家になったか聞かれた時には必ずこう言う 『彼女が教えてくれた物で彼女と再会したいのだ』