10年ぶりの恩返し
…どうして私ばっかり、こんな目に遭うの。 どうして私だけが。 私は今年から高校生になった。友達もたくさんできて、それから吹奏楽部に入部した。 楽しい高校生活になる…はずだったんだ。 友達からはハブられ、部活でもうまくいかないことばかり。どうして。どうしてなの!?なんで私ばっかりこんな酷い目に遭うの? そんなことを考えていたら、ふらっと道路に飛び出してしまった。 「ちょっとそこの子!危ない!」 通りすがりのお兄さんが叫んだ。 すると、後ろから誰かに手を引かれた。私は歩道に戻った。危機一髪だ。 「ありがとう…ございます」 すると、後ろから声が聞こえた。 「どういたしまして。あたし、お姉ちゃんには死んでほしくなかったから」 振り向くと、ボブカットで赤いワンピースを着た可愛い女の子がいた。10歳ぐらいだろうか?知らない子だ。 「え?」 私は意味が分からず、声を漏らした。女の子は淡々と続けた。 「あたしね、お姉ちゃんに昔助けられたんだよ。お姉ちゃんが6歳ぐらいの時かな。道路の真ん中で動けなくなってたときにお姉ちゃんがあたしを車に轢かれないように、植え込みまで連れてってくれたんだ。だから今、お姉ちゃんを助けたかったんだよ」 ん…?あぁ、あの時の。 でも私が助けたのは小学生の女の子じゃなくて、小さなてんとう虫だったはず。この子は何を言っているのだろうか? 「お姉ちゃん、あの時はありがとう。じゃあね、またどこかで会えるといいね」 女の子はそう言うと、ニコッと笑ってどこかへ行ってしまった。 ああ、もしかしてあの子は…。 私は、ほんの少しだけ生きる希望を持てた。