金子一
「一スゲーな。またテスト1位じゃん」 友達の大地にそう言われた。 「まあな」 「しかもサッカー部のエースで足も学年で1番早いだろ。本当にどうなってるんだよ」 俺は自分で言うのもなんだがかなりあらゆることで1番になる。というか1番になるための努力は絶対に惜しみたくない。1位という立場は落ち着くし1位じゃない自分が想像できない。だから1位は何を犠牲してでも欲しいんだ。 今日の中休みも俺は人に囲まれている。人脈づくりにも手は抜かないし顔の広さでも1番になりたい。 「ねー聞いて!」 「こっちも聞いてくれよー」 …たくさんの人から話を聞くのは楽しいけど少し疲れる。なんだか今日は1人になりたい気分だ。こんな時は… 「ごめん。俺先生に呼ばれてたんだった」 必殺!先生に呼ばれた!(嘘)さてと、人気の少ない空き教室にでも行くとするか。 空き教室の椅子に座りスマホをいじる。流行りの最先端に行くためにネットサーフィンは欠かせない。…至福のひと時。なのに俺のこの時間を邪魔するものが現れた。 「…やっぱ先生に呼ばれたなんて嘘じゃん」 俺の幼馴染の葵。なんか嫌味な奴だけど俺が1番素でいられる人物だ。 「悪いかよ。人の話を聞くのは疲れるんですー」 「無理に人脈広げるからー。ほんと中学のころはさえないクソガキだったくせに高校デビューしちゃってー!」 「葵。中学の話はすんな。もう今の俺とは違うんだよ」 そう。俺は中学時代はさえない真っ暗なものだった。真っ暗、その中では葵が一筋の光だった。でも葵だけに頼り続ける自分が嫌で努力した。そして1度1番になってしまうと2番や3番になったとき見捨てられそうで1番でいつづけないという圧に耐えるのが辛かった。 「はぁ?変わんないでしょ。私のことが大好きで頑張りすぎちゃうとことか」 「うるさい…」 そのとき俺の顔はアツくなっていた。やっぱり葵にはかなわないな。 「1番を目指して頑張っているのもかっこいいけど無理しないでね」 そう言った葵は柔らかく笑った。 【1番を目指して頑張っているのもかっこいいけど無理しないでね】 あの日の葵の言葉は今でもフラッシュバックする。俺は大学生になった。あの日の後からもたくさんのことに努力しつつづけた。でも1番は1つだけになった。この1つは絶対にだれにも負けたくない。そんなことを考えながら俺は葵に告白しに行く。誰にも負けたくない、誰よりも強い、1番の葵への恋心を胸に。 END おまけ あるクラスメイト視点 今日も一と葵はいちゃついている。 「もう!いくら私が好きだからってー」 「うるせぇーーー」 なんだよこいつら。いくら幸せだからってここまで大っぴらにいちゃつくカップルいないぞ。 「あっ、大地。またあいつらいちゃついてるよ。仲良しカップルだからってさ…ちょっとは周りの目を気遣ってほしいよな」 そう親友の大地に声をかけた。 「あーそうだな。でもあいつらあれで付き合ってないんだよ。あいつら不器用だから」 「はぁ!?」 あの2人付き合ってないのか!?明らかなる両想いなのに不器用すぎだろ。というか俺、今まで一のこと完璧すぎて近寄りがたいって思ってたけど不器用なのか…面白すぎだろ、金子一! あとがき この話はは好きな子のために1番を取り続けるハジメを中心として展開していきます。明らかな両想いなのに進展しない不器用カップルってなんかエモい…(作者の意見ですがもしよければ皆さんの意見もコメントで)ちなみに一は1番からきてます。(めっちゃそのままという意見は聞き入れませーん)さて!読んでいただきありがとうございました。この話を読んでくれた人の恋がうまくいきますように!