ひまわりと太陽
ぐちゃぐちゃになったノート。落書きだらけの机。ゴミ箱の中の上靴。 ……いなくなりたい。 「おい!聞いてんのかよ!」 そんな声と一緒に私は吹っ飛ばされた。抵抗する力もなく、ただ殴ってきた男の子をぼうっと見上げるだけ。 どうやらそれも気に食わなかったらしく、拳を振り上げるのを視界の端で捉えた。 殴られる!と、身構えたその時だった。 「やめろよ!」 私を守るように、男の子が立ちはだかった。 これが、出来損ないのひまわりが、太陽を見つけた瞬間だった。 「ひまわり、好き!」 「はいはい。行ってきまーす。」 挨拶がわりに好きと言ってくる陽介を適当にあしらって私は家を出る。 「そんなに毎日言ってて飽きないの?」 「え?俺が本気でひまわりのことが好きなだけだけど?」 こいつの頭から犬耳が生えている気がするのは私の気のせいだろうか?そもそも洋介はモテるんだから他の人を好きになればよかったんだよ。私なんかじゃなくて。 「あ、俺、今日は一緒に帰れないから。」 珍しいなぁ。いつもは勝手についてくるのに。 「ふーん。わかった。」 今日は珍しく一人で帰れるようだ。 放課後、家で宿題をしていると、親友の佳奈から 「ヤバいヤバい。陽介くんが女の子と二人で……。」 と、メッセージが来た。添付されている写真には、確かに陽介ともう一人美少女が一緒に駅前で買い物をしているのが見える。 胸がザワザワして、きゅっといたむ。なんでだろう?陽介はただの幼なじみなのに。 ……あ、私、陽介が好きだったんだ。 いつの間にか当たり前になってた。陽介が私を好きでいてくれることが。 「ひまわり?大丈夫?」 「うん。」 そう答えて、私は家から飛び出した。駅まで全力で。 いた! ちょうど、陽介と謎の美少女が一緒に帰っているところだった。 「陽介……。」 ポツンと呟く。 「ひ、ひまわり!違うんだ、これは……。」 私は陽介をギュッと抱きしめた。 「陽介、好きです。」 そう言って、謎の美少女と、顔を合わせる。 「陽介も、私のことが好きなので、諦めてください!」 「え?ひまわりちゃん何を言ってるの?私よ?ひなのよ?ほら、こいつの姉の。」 え?そういえば、昔遊んでくれたひなのさん………。わたし、盛大な勘違いをしていたの? 顔がポーッと熱くなる。いま、私は真っ赤なんだろうな……。 「ひまわりちゃんごめんなさい。こいつがたんじょうびプレゼントどうしようって悩んでたから一緒についてきたのよ。」 「ちょ、姉ちゃん。」 そういえば来週は私の誕生日……。 「改めて言わせて。ひまわり、好きです。俺と付き合ってください。」 「喜んで。」 これは、出来損ないのひまわりが、花を満開に咲かせる瞬間までの物語だ。