私とワタシ。 (ループ物)
「どうもこんにちは。私は君の分身よ」 「……は?」 まだ眠たい目を擦りながら、玄関のドアを開く。目の前には、そっくりな顔。 まるでドッペルゲンガーみたいな、顔。 目の前の女は開口一番にこう言い放った。 眠たい中起こされたことに段々と苛立ちを感じながらも、なんとか話しを続けた。 「んなわけないでしょ!?私の分身!?」 「ねぇ、私と貴女で、入れ替わって頂戴?」 「は?」「だから、私と、入れ替わって?」 唐突に、しかも無茶苦茶な要求をしてくる この女は一体誰なのかと無駄な思考が頭を 駆け巡っていった。そうしたら、微笑んで いる目の前の女は静寂を切るように喋った。 「とにかく、一週間入れ替わって頂戴ね」 「いや、私の許可は?」「貴女は私、私は貴女。許可なんて要らないのよ。じゃあね、私はもう行くわ。貴女もサボれていいでしょ」 返事は最初から待っていなかったかのようにサッサと出て行ってしまった。まぁ、サボれるし、いいかと能天気にゲームを起動した。 「ねぇ、今日は私が行ってもいい?」 「あら、いいの?」「うん?」 「ふふふ。まぁ、いってらっしゃい?」 妙に笑みを浮かべながら見送る姿に、 寒気を覚えつつも、通学路を歩いた。 「ねぇちょっと!」 「あら、お帰りなさい。どうかしちゃったの?そんなに声をあらげちゃって、ねぇ?」 「あんた、学校でどんな態度取ってんの!」 「ふふっ。普通、よ?」 「んなわけないでしょ!お前は誰なんだっていわれたくらいなのよ!?」 声を荒げていたら、 いきなり厳しい声色で話し始めて来た。 「五月蝿いわねぇ。喚いたって変わんないのよ。分かるかしら?」「な、なにを」 「貴女は求められていないの。私が必要とされているの。貴女は要らないのよ」 「いや、そんなわけない!」「あるのよ」 「イヤァァ!」 「嫌々言ってもあんたは要らない子なの」 「じゃぁ、私はどうすればいいの!」 「ここに行きなさい」「秘密サロン201?」 差し出された紙をじっと見つめて話を聞く。 「ここなら、平行世界に行けるわよ?」 「へーこーせかい?に行けば私は必要とされるの?求められるの?」「まぁ、ね。その世界のこの家に来て、分身だと言えば」 「そうしたらいいのね?」「ええそうよ」 最後まで余裕たっぷりな笑みを浮かべながらこちらを見つめて来た女。私もああやって振る舞えば良いのだろうか。長々と考えて、今は私は家の前で立っている。 深呼吸をして、チャイムを鳴らす。 「はーい…」 気だるげな声が聞こえてくる。 さぁ、やり直さなくては。 失った私を戻すために。