席替えは恋のキューピット
<安藤真由> 私、安藤真由(あんどうまゆ)。高校1年生。 好きな人は、阿部陽斗(あべはると)。 出席番号が近くて、席が近くになったのが、好きになったきっかけだ。 「安藤さん。このプリントは運ぶの、お願いできるかしら?」 「はい」 本当は嫌だ。だけど、断れない。 私は昔からこうだ。 重いなー。 そう思っていたら、急に軽くなった。 「半分持つよ。重いでしょ」 陽斗くんだった。 かっこよすぎ。私なんかにそんなに優しくしないでよ。 好きじゃないくせに。 彼女いるくせに。 ー3週間後ー もうすぐ席替え。 私と阿部くんは、隣の席ではなくなる。 そして、私のクラスの席替えは希望制だ。 阿部くんは、可愛い彼女の佐々木真理亜(ささきまりあ)さんと隣の席になるのだろう。 そんなことを考えていたら、佐々木さんが阿部くんの席に来た。 「陽斗くんっ!」 「、、、佐々木」 「ねえ、ちょっと話したいことがあるの。来て」 なんだろう。 まあ、デートの予定とかだろう。 <阿部陽斗> 俺、阿部陽斗。高校1年生。 彼女の佐々木に呼び出された。 「ねえ、陽斗くん。最近冷たくない?」 「そんなことない。佐々木の勘違いだろ」 「絶対に勘違いじゃない。彼女にはもっと優しくしてよ。呼び方も、いつまで佐々木なの?真理亜って呼んでって、いつも言ってるじゃん。ねえ、聞いてる?」 俺は呆れてため息をついた。 「陽斗」 俺はもともとあいつのことなんて好きじゃない。 俺が好きなのは安藤さんだ。 「佐々木、別れてくれ」 「は?」 「じゃあな」 <安藤真由> とうとう席替えの日になった。 6時間目にやるのだ。 隣の席の人、誰になるんだろ。 友達とか、このクラスにいないし。 「安藤さん、ちょっと来てくれる?」 「阿部くん?うん」 なぜか阿部くんに呼び出された。 私に何の用だろう。 阿部くんは屋上に向かったけれど、屋上には鍵がかかっているはず。 「屋上は鍵がかかっているよ」 「知ってる」 行きたいのは屋上ではなくて、屋上に入る前の、人気のない階段だったらしい。 阿部くんは深呼吸して、最後に大きく息を吸って、言った。 「好きです」 どういうこと? <阿部陽斗> 「席替え前に、どうしても言いたくて」 「阿部くん、彼女いるでしょ」 「別れた」 安藤さんは首をかしげた。 「どういうこと?」 「実は、、、」 ー去年のバレンタインデーー 「陽斗くん。好きです!この本命チョコ、受け取ってくださいっ!」 佐々木真理亜が、ハートの形をした箱を手渡してきた。 こういうときってどうするべきなの? 「うーん、、、」 「ほんとに?ありがとう!じゃあ、今から私達、カレカノだね!」 ん?待てよ。なんだかとんでもない勘違いをされている気がする。 「佐々木!」 「じゃあ、私、用事あるから行くね。ばいばい!」 「うーんとうんを聞き間違えたようだったんだ。翌日学校に行ったら言おうと思っていたんだが、クラス中に広まっていて、言い出せなかった」 「なるほどねえ、、、」 あ、告白のこと忘れてた。 「安藤さん。改めて、好きです。付き合ってください!」 安藤さんは顔を赤くした。 「うん。私も好きだよ、、、陽斗くん」 <安藤真由> 今日、陽斗くんに告白されて、付き合うことになりました! 席も、また隣になりました! 嬉しいなー、ほんとに! 今日は彼は部活があるみたいだから、明日一緒に帰ろ。 階段を降りようとしたときだった。 誰かに背中を押された。 落ちる。 私は階段を転げ落ち、意識を失った。 <阿部陽斗> 真由が死んだ。 付き合って1日のときだった。 ずっと片思いだった。 やっと両思いになれたのに、なんで。 俺は部屋に入って、カッターを取り、自分の心臓に突き刺した。 これで、真由とずっと一緒にいれる。 <安藤真由> なんで陽斗くんを残して死んじゃったんだろう。 陽斗くん、寂しいよ、、、。 「真由!」 「陽斗、くん?なんで?死んじゃったの?」 「うん。自殺した。真由と一緒にいたかった」 私と一緒にいたかったから、、、? <阿部陽斗> よかった、真由を見つけられた。 「これで、ずっと一緒にいれるな!」 「うんっ!陽斗くんがいないから寂しかった。来てくれてありがとう。大好きだよ!」 寂しかった?来てよかった、、、。 「真由のこと、誰よりも愛してみせる!」