ピアノ【恋愛小説】
私は、初瀬想和(はつせそわ)です。もうすぐ、クラス対抗の音楽コンクールがあって、今は必死にピアノの練習中です。本当は、残ったものを押し付けられた感じだけど… 私は、いつも通り、残ってピアノの練習をしていました。夕暮れ時の光でオレンジ色に染まる教室の中に音が響き渡ります。 「頑張ってるね!」 ドアの隙間から顔を出したのは、私が気になってる男子、一条翼(いちじょうつばさ)くんです。翼君は背が高くて、優しくて、女子の憧れの男子です。 「先生と連弾だったよね?想和さん」 「うん…」 「俺、先生のところ弾くから、一回やってみてよ」 翼くんの演奏は、つっかえがなくて、明らかに上級者の引き方でした。その時、 「「あ…」」 私と翼くんの手が触れました。 「そこ、1オクターブ下だね」 「う、うん… わかった…」 私の顔は、自分でもわかるぐらい真っ赤でした。 「…?大丈夫?顔、赤いね 可愛い」 ドキ… 私は俯いてしまいました。 「可愛い」なんて… 簡単に言わないでよ… 「顔あげてよ…」 気を取り直して翼くんに顔を向けると、 チュッ… え? これって… キス? いや、そんなわけ… いや、でもこれ… 私がもっと顔を赤くしていると、翼くんの手が私の頬を撫でました。 「あっ… ごめん…」 翼くんも顔を赤くしました。 「想和 好きだよ…」 「私も… 好き…」 夕空が私たちの頬をオレンジ色に照らしていました。