サヨナラなんて、言ってないから。
突然だけど、私には彼氏がいる。 「俺、鈴のことが好きだ。ずっと、一緒にいたい。」 そう、照れたように人差し指で頬をかきながら笑う彼の名前は、要。 要となら、一緒に生きていける。一緒に歩ける。 私達には、幸運の女神がついているんだ。 ーーーそう、本気で思っていたけど。 本当に私達についていたのは... みにくい悪魔だったんだ。 ピッピッピッピッピッ... 真っ白な部屋。そこには、感情のない機械の音と、彼の荒い息の音しかきこえない。 要は、交通事故にあった。 要の何倍も大きな車が、無惨にも要をはねたのだ。 「す、鈴...」 要の、弱々しい声。 私が近づくと、要は私に向かって手を伸ばした。 私はその手を、震えた手で優しく包む。 ピッ..ピッ..ピッ..ピッ.. 無感情な機械音が、要の最期が近いことを、静かに主張している。 「これだけは...信じて,ほしい..俺は鈴が...好きだ。大好きだ。」 私の頬に、涙が星みたいに流れてく。 ピッ...ピッ...ピッ...ピッ... 「また、会える日まで。...俺の..分は生きなくていい。..鈴は、鈴の人生を...生きて...」 なにそれ。そんなの、意味わかんないよ...! 「いかないで。お願い、いかないで...!私も、要のことが...」 「..またな」 私が必死に紡ぐ言葉に、要が被せて、いった。 それが要の最期の言葉だった。 ピーーーーーーーーーーーッ 冷たい音が、私の耳を潰す。 彼の手から、だんだんと、体温が消えていく。 まるで、世界に一人残されたみたいだった。 「要...要!戻って来てよ!私を、一人にしないで...!要~っ!」 赤ちゃんみたいに泣き叫ぶ私の背中を、要のお母さんが優しく撫でてくれる。 数分後、やっと落ち着いた私に、要のお母さんが語りかける。 「鈴ちゃん。要のこと、好きになってくれてありがとう。要と一緒にいてくれてありがとう。」 引いた涙が、また込み上げてきて、涙線を越える。 「あとね..要は、サヨナラなんて、言ってないわ。だから、信じてくれる?」 要のお母さんも、最後は涙声になっていた。 私は何度もうなずきながら、また泣いた。 数十年後。 私は結婚して、息子ももう中学3年生。 ...え?要のことを忘れたのかって?そんなわけないじゃん! 私、信じてたからね...願えば叶うんだって、私わかった。 今日は、息子の受験合格おめでとうパーティー。 おつかれ~という夫と私の労いの言葉に、 「ありがとう」 そうかえす息子は、照れたように人差し指で頬をかいた。
みんなの答え
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まさか
息子さんに転生した系の? だとしたらめっちゃ感動。確かにサヨナラって言ってないなって思ったけど、ほんとに帰ってきたんだ! ってことをはっきり書かないのが良かったとおもいます!あと、「私の名前は○○。」から始めるんじゃなくて、自然に登場人物の名前を入れ込んできたのが上手いと思いました。
うぅ...感動したよぅ....
息子さん、要くんが生まれ変わったのかなぁ。 うっ、涙が.... 涙腺崩壊です。 文章の組み立ても良くできていて、 読み手を引き込ませる、そんな短編でした!
めっちゃいい凄い
凄い主さん なんか素敵な愛を感じました! 息子さんが要さんなのかなって思うとなんか感動しました!素敵な作品ありがとうございました!
心がホッとする
みんな元気?しろもちだよ! 最初読んだ時は悲しい系か、、?って思ったけど、最後は別の形で要を愛する事が出来て、心がホッとしました! 最後まで読んでくれてありがとう!
にゃ
鈴ちゃんの息子さん、要さんじゃん!