親友
「いってきまーす」 ドアを開けると、むわっとした空気と共に蝉の声が聞こえてきた。 今日は、親友の命日だ。 3年前に亡くなった、私の大好きな人。 3年前、親友はいじめられていた。 私はただ見ていることしかできなくて、助けてなんてあげられなかった。 守ってあげられないことが悔しくて、大好きな人すら守れない私が、何故生きているのかと思った。 でも、親友はそんな私のことを見放さずに仲良くしてくれた。うれしかったけど、辛かった。毎日毎日、親友を想う気持ちと、罪悪感が募っていった。 あるとき、唐突に親友がプレゼントをくれた。 誕生日でもなんでもないし、なにかイベントがあるわけでもない。私は不思議に思った。 「なに?これ」 「それ、あげるよ。私が作ったの」 「え、でも…」 「いいから、もらって?」 「……わかった。ありがとう」 そういうと、親友は笑顔になった。 家に帰って袋の中を見ると、一通の手紙と勿忘草の押し花が入った栞があった。 その日、親友はいなくなった。 私はそのときから、親友のかけた呪いに囚われている。でもそれは、私に対する罰なのだろう。大好きな人を守れなかった、私への罰。 スターチスの花を胸に抱いて、私は足早に親友の元へと向かった。