キミに捧げた1357作。
1ページ、2ページと、紙をめくる。 それは、僕が捧げた1357作だった。 僕は、佐伯天音(さえきあまね)。 僕は、何かを書くのが好きだ。 楽しかった高校生活も終わった。 今は、もう毎日も小説を書き続けている。 それは、すべて、「ある人」へ届けるためだ。 僕は、小さく折りたたんだ紙を封筒に入れて、急いで家を出る。 まだ早朝だ。 綺麗な朝日が顔を出している。 僕は、走る。走る。 人の声は聞こえない。 ただ、僕の走る音と、鳥の鳴き声だけが、地面に響いていた。 やがて、となり町の商店街にたどり着いた。 ああ、賑やかな音がする。 この音も、僕の声も、キミには聞こえない。 角を曲がり、住宅街の方へ向かう。 「美園」そう書かれた札がある家だ。 「ピンポーン」 インターホンを押しても、人は出てこない。 そりゃそうか、キミは、「耳が聞こえない」んだから。 僕のプレゼントした補聴器、使ってるかな? そんなことを考えながら、ドアをたたく。 中から、いつものあの人が出てきた。 「補聴器があるおかげで、だいぶ楽になったし、ありがとう。」 「うん。」 「これ、渡しにきたんだ。」 そう言って、僕は封筒を渡す。 中には、ぼくの書いた小説が入っている。 耳が聞こえない君への。 「ありがとう。」 「またね。」 僕は、別れの挨拶を交わす。 僕は、急いで家に帰った。 また、小説を書く。君に送る。 1日、1日と、時間が過ぎていく。 僕は、小説家になった。 ある日、家に帰ると、 耳の聞こえないキミがいた。 彼女が持っていたのは、一通の通知表。 「あのね、私、天音くんの小説は、とってもすごいと思ったの。」 「それで、これ、応募したの。」 そこには、有名なコンテストの名前が書かれていた。 「これって、入選したってことか・・・?」 「勝手に応募しちゃって、ごめんね。」 「うん、いいよ。ありが・・・。」 そう言い終わる前に、彼女が僕に言った。 「私も、小説・・・描いてみたいんだけど、いいかな?」 僕は、手話で答える。 「も・ち・ろ・ん・い・い・よ」 喜ぶ彼女が目に映った。 それから、僕と彼女で、たくさん小説を書いた。 僕が、キミに捧げた小説、1357作。 キミが、僕に捧げた小説、1357作。 たとえ、耳が聞こえなくても。 おしまい。 {作者より} やっはろー。 はれちゃんってよんでね♪ (みうから名前変えた) できればコメントほしいな! ばいちゃ。