短編小説みんなの答え:3

【短編小説】変なこと言ってもいいですか?

「今から先輩に変なこと言います。」 後輩の矢田ちゃんがそう言う。 「なに?変なことって。」 「私,先輩のことが好きかもしれません。」 僕はすごく困惑した。数秒後やっと理解が追いついた。 (あ,これマジなやつ?) どうやら僕の後輩は僕のことが(多分?)好きらしい…。 矢田ちゃんはテニス部の後輩。 部自体,男女であまり関わる機会はないが,マネージャーとなると話は別だ。すごく働き者で部自慢のマネージャー。 そんな自慢の後輩が僕のことが好き? そんなラブコメのように都合のいい展開があるのか? それほど驚くくらいに僕には魅力がない。 顔は普通だし,頭がいいわけでもない。 唯一できるのはテニスだけ…。 「矢田ちゃん…それ本当?」 そう聞いてみる。ドッキリだったりして… 「私が嘘をつくように思いますか?」 ドッキリじゃないらしい。まぁそりゃそう。 矢田ちゃんはありえないほど素直な性格。ドッキリなんてしないだろう。 「ううん,そうは思わないよ? でも僕なんかのどこに好きになる要素があるのかなって…」 自分で言っててすごく悲しいけど…。 「そういうところです。」 矢田ちゃんは微笑みながらそう言う。 「え?」 「だーかーらー! そういう自分の良さに気づかないほど優しいところです。」 「そういう先輩だから私は好き…なんです。」 恥ずかしがっている矢田ちゃんも可愛いとか考えている状況ではない。 返事をするベストタイミングは間違いなく今。 でも言ってもいいのだろうか。 …いや,ここで言うしかない!そして僕はこう告げる。 「僕も素直で優しい矢田ちゃんが大好きだよ。」 「…僕と付き合ってください。」 矢田ちゃんは下を向いている。え?だめだったかな?不安になる。 顔を上げ,矢田ちゃんが言う。 「ええ,もちろん!」 そう言って笑う矢田ちゃんを見て思う。 ああ…僕はなんて幸せものなんだろうって―――。 最後まで読んでいただきありがとうございました! 感想など教えてくれると嬉しいです! 〈登場人物の補足〉 ・山川颯(先輩) 高校2年生。テニスの大会ではほとんど優勝するほどの実力者。 心配性で自分に自信がない。 ・矢田花音(矢田ちゃん) 高校1年生。テニス部のマネージャー。 仕事を完璧にこなす働き者。 ありえないほど素直。礼儀正しい。

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