短編小説みんなの答え:2

ホワイト・ティーポット・ホワイト

「あらやだ、まあ、イヤだわあ奥さん。ご冗談はよしてよ。」  婦人は、そう言って白いティーカップの紅茶を啜った。 「冗談じゃあ、ないのよ。」 「じゃ、どうするおつもりなの?」 「うちの主人に、押し付けてしまおうかしら」 「ま、なんてこと!」  婦人たちは、ひとしきり笑って、また紅茶を啜った。 「やい、ポットさんや」 「なんだい」 「いつになったら君は空っぽになるんだい」 「なに、もうじきさ。」  白いティーカップが、彼に話しかけた。 「やい、もうじき空のポットさんや」 「なんだい」 「いつになったら君は冷めるんだい」 「なに、もうじき空になるから、そしたらさ。」  白い皿も、彼に話しかけた。 「やい、もうじき冷めるポットさんや」 「なんだい」 「いつになったら君の茶しぶはとれるんだい」 「なに、いつまでたっても取れないさ」  白いテーブルクロスも、彼に話しかけた。 「そりゃあ、そうだなあ。君は、ティーポットだものなあ。」 「そりゃあ、そうだなあ。見た目が、綺麗なら、さほど変わりはないものなあ。」 「そりゃあ、そうだなあ。俺たちとは、違うものなあ。」  白い食器たちは、けたけたと笑った。 「誰も、気に留めやしないのさ。だから、いいんだよ。あの人たちにとっちゃあ、俺はまだ、白いティーポットなのさ。」 「本当は、ちがうのに?」 「なに、違わないさ。あの人たちには、俺の外側しか見えていないんだから。」 「そりゃあ、そうだなあ。」  白い食器たちは、またけたけたと笑った。 「このティーカップ、本当に真っ白なのねえ」 「そうよ、だって、主人が取り寄せたのよ、それはまあ、お高くつくんだから」 「まあ、羨ましいわあ!」 「ねえ、こんなに綺麗でしょう、ティーポットも、雪みたい」  婦人たちは、また紅茶を啜った。

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