17年間の思い出、思い出したら『Kissしよ。』
【はじめに】 この作品には、少しだけ事故の様子を書いています。苦手な方は、申し訳ございませんが、ここで、この物語をご覧になるのをおやめください。 なんで思い出せないの? でも、この人が大切な人なのはわかる。 こんな自分が大嫌いだ。 2019年8月の終わり頃、私は君に会いに行くために自転車に乗っていた。横断歩道が迫ってきた。止まらないとっ… キィィッ!人生で一番嫌いで嫌な音が鳴り響いた。その直後、ドンッと鈍い音がして…私の全身に痛みが走った。痛すぎて、辛すぎて、私は手から意識を手放した。それがいけなかった。それと一緒に大切な記憶も手放してしまった。 私が目覚めたのは2020年の1月。約5ヶ月も眠っていたらしい。でも、久しぶりの明るい光と同時に見た先は、少し茶色がかった髪色をした、の見知らぬクール系(?)男子高校生だった。でもそのイメージはすぐに崩れた。その男子高校生は、顔をグシャグシャに濡らしながら、私の名前を呼んでくる。なんで、私の名前を知ってるの?と思うと、それが顔に出ていたのか、世界の終わりが来たかのような絶望の顔をした、さっきまでは笑顔で泣いてたのに。不思議な人だなぁと思ったら、 『ほんとに覚えてないの?』 としつこく何回も聞いてくる。私は、 『ごめんなさい。わからないです』 と言った。でも、なんか、喋っていると心がすごく暖かくなる。その後、医者の方が来た。男子高校生の人は、外にと言われたのでいなくなってしまった。その後、告げられたのは、私が「記憶喪失」になってしまったこと。そして、さっきの男子高校生は私の彼氏だということ。全く思い出せない。思い出せてもすぐに頭が痛くなって見えなくなっていく。なんだかそんな自分に腹が立ってしょうがなかった。 私の彼氏らしい人が戻ってくると、私に頼りない鼻をすする音と同時にこう言った 『俺、待つよ。』 えっ。 『17年間の思い出を思い出すまで。』 一息ついてまたその人は口を開けた。 『だからさ、思い出したら、Kissしよ。』 きす…? 『キス。ねっ?』 といい私を見てくしゃっとした無邪気な笑顔を私に見せてくれた。 2023年の8月。 私は今、その人と甘い、甘いキスをした。 手放したはずの記憶をまた手に握って。 【作者より】 読んでくださり、ありがとうございます!もし良かったら感想をお願いします!