高校入学式。
怖い。 中学も不登校な俺がまともに挨拶できると思うか?無理だ。絶対無理。恐怖して泡吹いてブッ倒れるに違いない。 しかもなんだこのクラス…陽キャしかいない。またいじめられるに決まってる。先生はなんでこんなド陰キャを光の中へ放り投げ…いや、ブチ込んだんだろうか? そんなこと思ったって、いかなくてはいけない。 (でも、足が動かないんだ。) 体育座りで、俺は靴箱付近で震え続けていた。 そんなとき、フワッと優しい、花の柔軟剤の香りが鼻腔を擽った。 視界には影ができている。おまけに俺のじゃない髪が少し見えた。 恐る恐る顔をあげると、そこには_______ ___美少女がいた。 ただ、それを認知するのは数十秒後である。なぜなら… 『ついてきて!』「っえ、え?あっちょっ、助けッ『しーっ!』アッハイ…?」 彼女は俺の手をとり、俺をつれて廊下を走っていった。…勿論俺も。陽キャに無理矢理つれていかれるのは好きじゃない。大嫌いだ。 だがこの子は違う。こんな弱い俺でも、ちょっと力を入れれば簡単に振りほどけるほどの力加減で手を握っている。 まるで優しさの権化ではないか。 走ってから、十数秒。ついたのは、音楽室であった。 扉をしっかり閉め、彼女は扉を背にしてこう言った。 『あー!案外遠かった~!ね、大丈夫…じゃなさそうだね?ごめんね急に連れてきちゃって…これ水!よかったら飲んで!』 俺だぞ?小中不登校の俺だぞ?大丈夫なわけがないだろ?っていうことで、ありがたく頂戴した。 ホームルーム…というものまでかなり時間があるから、ちびちび飲みながら彼女と少し時間を潰すことにした。 どうやら昨日学校探検に行って、忘れ物をしたそうでここへ着たらしい。 なぜ俺をつれてきたかは分からないが、まぁあそこから連れ出してくれたから問わないことにする。 『はぁ…一回休憩~… あ、そういやそれ______』 彼女は小声でいっているようだが、あいにくここは外の音が遮断されているためよく聞こえるのだ。 さぁ、この俺が飲んでるペットボトルがなんだって言うんだ? 『私口つけちゃったやつじゃん…?!』 聞かない方がいいまであった。 こんな美少女と間接キ…いやいやいや、考えるだけでもおこがましいわ! 『…ごめんね?』 「アッいえ、大丈夫ですよ…?」 そこには赤面した二人の男女がいた。