私の誰よりも凄い強み
「私って、なんでこんな不幸なんだろう・・・。」 鏡に映る自分の姿を見て、ため息交じりに呟く。私は、篠原想楽(しのはらそら)。先程言っていたように、私は不幸だ。片親で貧乏だし、可愛くないし、スタイルも良くない。短所ならいくらでも思いつくけれど、私に長所は一つもない。 学校の給食の時間、私は自分で作った白米以外全て茶系統のお弁当を食べる。他の子は、友達や恋人と食べているが、私にそのような人はいない。 「篠原さん。ここ、座っていい?」 声のした方を見ると、そこには隣のクラスの斎藤陸(さいとうりく)がいた。斎藤くんは、美少年で、頭が良くて、運動神経バツグンで、性格も良いから、女の子達に物凄く人気がある。 「あっ、はい。いいですよ。」 私は、戸惑いながら返事をした。 (なんで斎藤くんが私の隣に座りたいんだろ。でも、断るのも可哀想だし・・・。) それから10分程、斎藤くんとおしゃべりをしながらお弁当を食べた。今までずっとぼっちだったから、誰かと一緒にいられるだけですごく嬉しい。だけど、ちょっと心臓に悪いこともある。 「篠原さん、自分でお弁当作ってるの!?へぇー、凄いね。少し食べてみてもいいかな?」 と斎藤くんは言って、たまご焼きとミートボールを口に運んだ。 「うまぁ!篠原さん、めっちゃ料理上手じゃん。」 なんて笑顔で言われると、照れてしまう。 「料理は上手かもしれないけど、他に私のいいところは何もない・・・。」 「えっ、そう?僕は、篠原さんに誰よりも凄い強みがあると思ってるよ。」 「私に、誰よりも凄い強み?そんなの、ほんとにあるの?」 私は、半信半疑で斎藤くんに聞いた。 「うん。篠原さんは、綺麗な心を持ってるよ。何よりも美しくて、凄いと思う。」 (綺麗な心?私の中にそんな物はあるの?) 「いつも委員会や勉強を真面目に頑張ってるし、誰にでも挨拶をちゃんとするし、褒められても常に謙虚でいられるじゃん。僕は、そういう篠原さんだから・・・。」 斎藤くんは、言いそうになった言葉を、慌てて飲み込んだ。 (綺麗な心。私のいいところなんだ。) それから、私は少し自分に自信を持てるようになった。あの時の斎藤くんの言葉を思い出すだけで励みになる。今まで、誰も気が付かなかった私の長所を教えてくれた。私の人生の恩人だと言っても過言ではない。 (ありがとう、斎藤くん。) 心の中でそう言って、私は一歩を踏み出した。