「こっくりさん。」
放課後の教室。茜色の夕焼けなんて気にしていないような、数人の女子が居た。 「ねぇねぇ、ホントにするの…?"こっくりさん"。怖いからやっぱやめようよー。」 女子高校生の集まり。その中で、一人の女子、レイが喋り出した。どうやら今からする"こっくりさん"が怖いようだ。 「こっくりさん」とは、降霊術の一つであり「狐の霊」を呼び出すと言われている。 こっくりさんをする時に必要なものは数個。硬貨「はい」「いいえ」等の文字と鳥居が書かれた紙。 硬貨の上に人差し指を置き 【こっくりさん、こっくりさん、おいでください。】 と言う。それだけである。 だがしかし、これだけにも関わらず、こっくりさんは非常に強大な霊であり、少しでも「こっくりさん」のやり方を間違えれば、"恐ろしい事"が起こると言われている。 「大丈夫だよー。ていうかあんた、マジで本気にしてんの?ないない!!」 女子高生の中のもうひとり、ルカが言った。ルカはこっくりさんを冗談のような気持ちでやっている。本気にしているレイを馬鹿にしながら、余裕の笑みを見せる。 「それじゃー、始めていい?」 ルカは紙に描かれた鳥居の上に置かれている硬貨に手を伸ばし、人差し指をそっと置いた。周りの数人も、恐る恐るだが指を乗せた。 「えーと、こっくりさん、こっくりさん、おいでください。」 ルカがこっくりさんを呼ぶ言葉を唱えた。 その瞬間。 「え…?今なんかさ、変な風みたいなの吹かなかった?」 目を見開きながら言ったのは、こっくりさんをやっている彼女たちの一人、ミキ。 ミキは霊感が強く、普段の日常でもたまに「ねぇ今なんか見えた」などと言う。 「うっそだー!だって私は何も感じなかったよ?心配しないでさ、続けちゃおうよ!」 楽観的な思考のルカは、続けてこっくりさんに質問した。 「うーん、そうだなぁ…こっくりさんこっくりさん!私に彼氏は出来ますか?」 すると、彼女達の人差し指は動き出し… [て ゛き る ] 「えー!?やっばー!今から楽しみ!」 ルカは満面の笑みを浮かべた。だがそれとは正反対に、レイとミキは怯えていた。 「いや…!もうやめようよ…やめる方法、あるんでしょ!?」 「そうだよ…!!もう嫌だ…なんか変な視線も感じる気がするし…」 レイのやめようの言葉にミキが同意。二人は完全にこっくりさんをやめたかった。 「えー!?もう、二人が言うならだけどさ…あーあ、彼氏どんな感じの人か聞きたかったのになぁー」 そうして、三人はこっくりさんを終了させた。 三人がそれぞれの帰路につき、がらんとした茜色の教室。 置かれたままの硬貨は、ひとりでに動く。 [お ま え た ち は い つ か ■ ■ ■ ]