邪魔モノゴミ箱
私・紬(つむぎ)には嫌いな奴がいる。 本当にウザい。ゴミ箱に頭突っ込んでやりたい。 「…ん?」 自分の部屋に見慣れない箱とノートが置いてあった。 ノートの表紙にはこう書かれていた。 (『邪魔モノゴミ箱』…?) 説明にはこう書かれていた。 『このノートに邪魔なモノの名前を書くだけであら不思議!この箱に閉じ込められます!人間も食べ物まで!』 「はぁ?こんなちっさい箱に何が入るんだよ。…ま、使ってみるか」 「えーっと、“坂原 百合葉”、っと」 (…ま、どうせ…) 瞬間、突然名前を書いたページが切り取られた。 そうしてそのページは、風に乗ってどこかへ飛んでいった。 「紬ー!お風呂入りなさーい」 「あっ、はぁい」 お風呂から上がり、部屋に戻ると、机の上に紙があった。 その紙には、百合葉に似た絵が描かれていた。 「紙…なに?戻ってきたの?」 すると紙は、私を待っていたかのように動き出した。 ぐしゃぐしゃと、どんどん丸まっていく。 あっという間にすごく小さな紙の塊となって、ゴミ箱へ入っていった。 ゴミ箱からこんな声がした。 「つむぎ…つむぎぃ…いたい…これ、なに…たすけてよ、つむ…ぎ」 (…はは、あはは。なにこれ、サイコーじゃん) 次の日からずっと、邪魔モノゴミ箱を使いこなしていった。 学校にそのノートを持っていき、うざいやつをどんどん消していった。 「紬ちゃんっ。そのノート、ずっと持ち歩いてるよね。お気に入りなの?」 「え、あ、うんうん」 「へぇ、じゃあさ!そのノートにお絵描きさせて!」 (…絵かぁ…確かに絵描いたらどうなるんだろう) 「いいよ!」 「やったぁ!」 「ねぇみて!紬ちゃん描いてみた!」 「おほぉ、上手いじゃん」 (ふぅん…絵では死なないんだ、了解了解…) 「ふふ、じゃあ名札つけてもっと紬ちゃんにしちゃお!」 「いいじゃん!もっとリアルにして!」 「おっけー!じゃあ、名札っと…」 (…え?) 「“宇野 紬”!よし、完成!」 「っあ…」 「ふふふ!我ながら大傑作だぁ!どぉ、紬ちゃ…って」 「紬ちゃん、どこ…?」