『カノ女』
僕は目ざめるとベッドの上にいた。 (いったいココはどこだ?) そっと前に目をうつすと、そこにはとても綺麗な女性がいた。 白い肌、透き通った目、何も描かれてない無地の白い服。 すっかり見とれていると、彼女は「ぱっ」と笑顔になり、僕に話しかけた。 彼女 「ふふっ。 やっと起きたんだね。」 僕 「あっあの///。ここはどこですか?…」 意外と彼女の顔が近くて、ほほが熱くなる。 彼女 「ここは病院。きみは事故にあって記憶喪失になっちゃったの。」 僕 「えっ!?僕が記憶喪失!?」 彼女 「そう。君が横断歩道を歩いていたら、急にブレーキがきかなくなったトラックが突っ込んできたの。」 僕 「……」 僕 「アレ??」 僕 「ならなんで僕は生き残って…もしや、奇跡て」 彼女 「きじゃなくて。」 彼女 「あのね。君のとなりを歩いてたカノ女さんが君がトラックにあたるすんぜんに背中を押してくれたんだよ。」 僕 「そうなの!?じゃあカノ女におれい…」 少し記憶がよみがえる。 倒れたトラック。 救急車のサイレン。 そして… これ以上は、 思い出したくないっ… 気づけば彼女が僕にだきついていた。 僕の目から涙があふれ出る。 (あれ?僕、何で泣いてんだろ…) 彼女 「ごめんね…涼太っ…ごめん、ずっと一緒にいれなくて。」 僕は自分が泣いていた理由に気づいた。 なんで気づかなかったんだろう。 この声。 懐かしくて優しい声。 当たり前に聞けると思ってた声。 カノ女の声… でも。もう2度と聞くことができない。 泣きながら彼女を強くだきしめようとした。 だがその感触はなく、じょじょに透けていっていた。 まるで、溶けていくゆくだるまのように。