君が残した最期のいたずら。
はぁ。今日もか。 私の靴箱にはいつもくしゃくしゃになった紙が入っている。 まわりを見渡すとひとりの男子がにやにやしながらこちらを見ていた。 「ゆうまー!!」 あいつの名前はゆうま。 私の同級生でいつもちょっかいをかけてくる。 「うわ!見つかった!」 と言いながら鬼ごっこがはじまる。 「またやってんのー?」 廊下にいた友達に言われた。 「見てんなら助けてよー」 みんなは、いつもの夫婦喧嘩だろーと言ってながされる。 ってか夫婦っていうより腐れ縁だわ。 そして次の日もその次の日もいたずらはつづく。 そして1週間が過ぎたある日の事だった。 靴箱にはいつものようにくしゃくしゃになった紙が入っている。 またゆうま... すると紙には文字が書いてあった。 そこにはゆうまの字でアホと書いてあった。 あいつ… そしていつもの鬼ごっこがはじまる。 この時はまだ普通だった。 ただ紙に文字が書いてあるのが何日も何週間も何ヶ月もつづいた。 おかしいなと思い、ゆうまに話しかけてみた。 「ゆうま。なんかあったの?」 するとゆうまは辛そうな顔をして 「すずな、ごめんな。おれ、転校するんだ。」 と言った。 「…え?」 わたしはおもわず声が出なくなった。 「どこに?」 「…北海道に。」 わたしたちが住んでいるのは神奈川県だ。 「と、遠すぎるよ…いつ出るの?」 「明後日の午後。」 「わかった…」 わたしは複雑な気持ちのまま家に帰った。 それから2日後。 今日ゆうまがこの街から出ていく。 歩きながらゆうまの家に向かうとトラックがあった。 そしてその後ろにゆうまのお父さんが乗ってる車があった。 間に合わないかも…と思いながら歩いていたが 「すずな!!」 私の名前が聞こえた。 振り向くとゆうまがこちらを向いている。 「絶対に、帰ってくるから!」 わたしは泣きそうなのをこらえて 「うん!待ってるから!」 と言い、ゆうまを見送った。 それから1年後ゆうまが交通事故で無くなったことを聞いた。 まさかあの会話が最期になるなんて考えもしなかった。 わたしは悲しい気持ちでいっぱいになった。 そして学校に向かう。 去年まで当たり前のように入っていたくしゃくしゃの紙はない…はずだった。 今日はなぜだかくしゃくしゃの紙が入っていた。 おそるおそる開いて見るとそこには見慣れた字で 「好きでした。」 と書いてあった。 「ばか…わたしもだよ…」 いたずら好きな同級生が最期に残したのはくしゃくしゃになった一通の手紙だった。