短編小説みんなの答え:1

晴天に咲く花

「あ、花だ」 「え、どこどこ」 雨上がりの、放課後。 淡い青の空の下、私達は歩く。 「これなんて名前だっけ」 「多分ラベンダー」 「はえー。物知りだねぇ。みさき」 「このくらい誰でも分かるでしょ…」 呆れてため息を吐く。 にへへと、あの子が笑う。 「私花興味ないもーん」 「なんで立ち止まったの…」 「なんか綺麗だったからさ!!」 あの子が、微笑を浮かべる。 さっきとは違う、少し笑った顔。 それを見て私は今日も、 貴女をもっと好きになる。 私とつばきの出会いは、中学校の入学式。 人見知りな私に、つばきが声をかけてくれて。 「私つばき!あなたのお名前は?」 「みさき、です。」 「そっか!みさきちゃん、これからよろしくね!」 初対面でも分かる、人間性。 その笑顔は、太陽みたいに明るくて。 一目惚れした。 それからしばらく付き合って、つばきのことがだんだん分かってきた。 底抜けに明るいこと、どんなことでもポジティブに考えること、カレーが嫌いなこと。 知るたび、どんどん好きになっていく。 どんどん、沼に落ちていく。 「私さ、彼氏できたんだ!!」 「え」 中2に進学して間もない頃、急に告げられた現実。 喜ばないと。 つばきが幸せなら、それで、いいんだよ。 「そ、うなんだ。おめでとう。」 「えへへー!ありがとぉー!!」 ふっと頬を緩めるつばきを、じっと見つめる。 あぁ、かわいいな。 この笑顔は、他の誰かのものになっちゃったんだよね。 なんでだろう。 どうしてこうなったの? それからつばきは、一緒に帰ってくれなくなった。 休み時間は一緒に喋ってくれるけど。 ひとりで歩く帰り道は、なんだかさみしくて。 胸が痛くなる。 帰り道には、沢山の思い出が詰まっている。 歩いていると、ずっとあの時の記憶が流れ込んできて。 ぽつ、ぽつ。 ざぁああああああああ 雨が降り始めた。 自分の目から、生ぬるい液体が、ぼたぼたと零れ落ちる。 あぁ、そういえば、傘持ってきてないや。 「ぁは…。はやく、帰らないとな……。」 雨でよかった。 一輪の百合が、静かに花弁を閉じた。

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