狐の子
あるところに、瞳が海のように澄んでいる娘がいた。その娘の名は、海莉(かいり)。実はその娘は、狐だった。 「こんにちは~。これから授業を始めようと思うのですが、一人転校生が来たので、そちらの紹介から始めます。」と先生。「こ、こんにちは。か、海莉です。」クラスのみんなが一斉に、海莉のことをみた。その視線は針のように痛かった。海莉の席は一人の女子の隣だった。休み時間になり、クラスの男子が外に行く。その一方で女子が海莉の席を囲んだ。「あんた、何様のつもりよ。ここでは、私が一番。よく覚えとくのよ。」と、背の高く、髪が腰まで届くきれいな女子が言った。「あなた、誰?なんで一番?」と尋ねると、急に胸ぐらをつかんでこう言った。「生意気な。まあいいわ。私は、杏梨(あんり)ここでは、私がリーダーなの。」すると、海莉の鉛筆を一本残らず、折ってしまった。「これで分かった?生意気な発言をするとあんたもこうなるわよ。」と鉛筆を見せながら、馬鹿にした様子で言った。実は、この一部始終を見ていたものがいた。クラスで人気の犬神蔚(いぬがみしげる)だった。 放課後になったころだった。海莉に話しかけてくるものがいた。犬神蔚だった。「おい、海莉。狐族の海莉。俺は蔚だ。今日の休み時間見たよ。」「ええ、知ってる。蔚さん。犬神族の蔚さん。」 次の日になった。杏梨と他の女子たちが、海莉のもとに集まってきた。「ねえ、海莉。いいことを教えてあげる。」とねっとりとした声で杏梨が言った。「海莉。私のグループに入らない?」海莉は、もちろんそんなことは嫌だった。だからこういった。「ごめんなさい。あんなことをするあなたのグループには、入りたくない。」と。だが、杏梨は、そんなことを許すわけはない。「あんたね。私に逆らってもいいのかしら」と顔を真っ赤にしていった。すると、杏梨は手をたたいた。ゾロぞろぞろと杏梨の仲間たちが集まってきた。殴りかかろうと杏梨が構えると、強い風が吹き霧が発生した。杏梨が倒れてしまった。「なに、何なのよ!」「杏梨、お前は間違ってる。今注意しても、なおらないだろう。なら、黄泉の世界へ行ってもらうしかない。」その途端、霧が晴れた。そこには、とても美しい、瞳が澄んでいる狐と、勇敢そうな狼に似た犬がいた。ケーンと狐の声が聞こえると、杏梨と美しい狐と勇敢そうな犬が煙のように消えていった。