本の中の
パタン、と、手にしていた本を閉じた。 本を読み終わった時は、基本的に胸がいっぱいになっている私だけど、今回の心は冷え切っていた。 不登校の子が、頑張って学校に行けるようになった話。 くだらない。 大きくため息をつきながら思う。 羨ましい。 もっと大きなため息をつきながら思う。 「みんな待ってるよ。」 主人公は、その言葉に希望を抱いた。 私は、どうせ嘘だと無視をした。 「自分のペースでね。」 主人公は、その言葉に安心した。 私は、どうせ気持ちのこもっていない言葉だと思った。 なんで、あんな風に物事を考えられるのだろう。 純粋に喜んで、安心して。 私も、そうしてみたい。 そうしてみたいのに、捻じ曲がった心が邪魔する。 みんな待ってわけないよ。どうせみんな忘れてる。 そう、なにかがつぶやく。 面倒ごとに巻き込まれたくないから言っているだけだよ。いろんな人が、知らないけど、と付け足すのと同じ。 そう、なにかがつぶやく。 なんでこんなに、違うんだろう。 本をもう一度開きながら、思う。 名前が全く同じの、存在しない主人公。 あの子は、学校に行って幸せを掴んだ。 私は、学校に行かずに心を閉ざした。 どちらが幸せかなんて、一目瞭然だ。 なんで、なんだろう。