短編小説みんなの答え:2

緋色の夏

「夏が好きな人!」 この掛け声に私も立ち上がる。 高校生でもフルートバスケットでこんなに盛り上がるのかぁと感心しながら目の前の椅子に向かったところ、クラスで1番足が速い生徒に先を越された。あーもうっ、やられた。教員である私がどんなお題を出すのか、生徒たちからの眼差しがすごい。 「全員!」と差別せずに言うべきか。 「勉強が嫌いな人!」これもありか。 夏に関するお題から6年前の事を思い出す。 この子たちと同じ高校2年生の頃、私は進路に悩んでいた。小学校の頃から「将来の夢は?」という質問に毎回毎回まだ決まってないと答えた。いずれ決まると思いつつも心のどこかではいつになっても決まらなそうという自分がいて、大人になりたいという気持ちと大人になりたくないという気持ちが私の中で渦を巻いていた。 高2の夏に行われた進路希望調査 やりたいことなんてなかったから第一希望から第三希望まで全部県内の国立大学に統一して学部だけ変えてみることにした。医学部に行けるほど頭が良いわけではないことは自覚していたから、医学部だけは抜かして第一志望から順に教育学部・工学部・経済学部とジャンルが全く違うものをテキトーに書いた。高1の秋の文理選択で、理転は難しいけど文転ならなんとかなるというぼんやりした理由で理系にしたのも懐かしい。第一志望を教育学部にしたこと、これが全ての始まりだった。 進路希望調査を持って行った二者面談 第一声に「なんの先生になりたいの?」と言われたことを今でも鮮明に覚えている。このときの担任は当時30代、正直授業は分かりにくかったけど優しくて話しやすかったから人としては好きだった。"だった"というか今も頼りになる。「なるとしたら数学ですかね。」暗記より計算のほうが好きだったからそう答えた。「あ、それと小学校?中学校?高校?」さすがにこの質問には瞬時に答えることができなかった。「あの、私、まだ先生になるなんて言ってないですよ。」先生は少し戸惑っていたように見えたが、すぐに「じゃあどうして教育学部?」と聞いてきた。「とりあえず書いただけです。」そう答えた私に先生は「私と一緒だ、私、夢がなかったから先生になったの。先生になれば夢がないことに悩む子供に寄り添えると思って。」と返した。この言葉にものすごく納得してしまった私は、なんとなくだけど教員を目指すことにした。当時は担任と同じ職場で働くことになるなんて思ってもいなかったなー。 進路も、今回のお題も、そんなに悩む必要はなかったのかもしれない。 「〇〇な人!」 この作品は全てフィクションです 最後まで読んでくれてありがとうございまし。私自身教師になりたいという夢があるため今回このような作品を書くことにしました。「私」が最後に言ったお題はなんだと思いますか?感想や意見を書いてくださると嬉しいです。

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