操り人形
今、この話を読んでいる人は、物の気持ちを考えたことはあるのだろうか。 目覚めたらそこは、箱だった。押し入れの中だった。私はついに願いを叶えたのだ。 学校なんか行きたくないし、人間関係とかも、めんどくさい。だから私は、お願いしたんだ。 「人形になりたい」 それが今年の七夕の願い。まさか本当に叶うなんてね。 人形になれば向こうから勝手にあそびに来てくれるし、勉強もしなくていい。 「スーッ」 押し入れが空いた。妹が遊びに来たのだ。 妹は、私が人間だった時に、唯一好きでいられた人物だ。 「みんな!お洋服屋さんが開店したよ!」 それが合図だった。 気がついた時には、もう遅かった。 休息なんてない。与えられるのは痛みだけ。 人間は楽しそうにいつも物で遊ぶ。でもその、「物」になってみて初めてわかった。 手を引っ張られて、高いところから落とされて、 いつもならいっぱい叫ぶのに、表情すらも、変えられない。 今、ようやく気づいた。 人間って結構恵まれた生き物なんだなって。 気がついた時には、もう遅かった。 私たちは遊ばれ続ける。 いつか、ゴミ箱に入れられ、処分される時まで。 私たちは遊ばれ続ける。 「操り人形」のように。 今、この話を読んでいる人は、「モノ」の気持ちを考えたことがあるのだろうか。