茂照くんと風茂手くん〈短編小説〉
「きゃー!」 あ。 今日は来るのはやいじゃないか。 俺は風茂手(ふもて)。 俺には双子の兄がいる。 茂照(もてる)。 顔よし 頭よし 運動神経よし パーフェクト男子。 茂照兄は、文字通りモテる。 俺、風茂手は、文字通りモテない。 「ドンマイ!風茂手。今日も兄のモテモテさに凹んでるねー。」 「心愛。」 俺の幼なじみ、心愛(ここあ)。 俺は、心愛のことが好きだ。 たぶん、片想い。 「風茂手くん!きょーもモテねーな。」 「本当に茂照くんの弟かー?」 うっ。はー。本当に心臓に悪い。 「はいはい俺は不モテです。俺が茂照兄の弟だからって、好きな女子取られるんじゃと心配してんだよねー。 だいじょぶ。俺は不モテだから。」 っとは言えず。 「僕の弟に、なんか用?用があるなら、僕で良ければ相手になるよ。」 茂照兄、優しい言葉だけど、怖い。 メッチャクチャ怒ってる。 俺は、俺のために怒ってくれる茂照兄が大好きだ。 そういえば、素直に大好きって言ったことないや。 まあ、いいけど。 「な、なんだよ!も、もう良いぜ。いこ。」 俺にちょっかいをかけてきた男子は、どこかに行った。 …もう一生来ないで欲しい。 「風茂手!あんな言葉、気にすることないんだからね!」 「そうよっ!あいつら、嫉妬してるだけだよ!」 「心愛、茂照兄。…分かった。」 そ、そうだそうだ! 前向きだぞ! 心愛もはげましてくれたんだ。 ー、告白、しよっかな。 そうだ。 もう吹っ切れよう。 片想いか両思いかわかんない生活やだ! ー放課後 「…茂照兄。」 「なあに?」 「あのさ、その、こ、心愛に、」 「心愛に?」 俺は大きく息を吸う。 「こ、告白、しようと思う。」 「告白!?。」 「だから、正面から向き合いたい。俺のために、心愛に無理やり好きって言わせないで。」 「、いい、の?フラれても。」 「うん。」 「分かった。…その……がんばって。」 「分かってる!」 よし。俺は、変わるんだ。 ー次の日 「心愛、ちょっと…。」 「えっ。…うん。」 ふぅー。よし。 「あのさ、ず、ずっと前から、好きでした。」 「え………。」 心愛の戸惑う気持ちも分かる。幼なじみだもんな。 「あの、うれしい。私の事、好きだなんて。だから、その。」 「…。」 「ごめんなさい。風茂手とは、ずっと友達でいたいの。」 「あ、ほ、本当?告白したからって、疎遠になったりしない?」 「あったりまえでしょ!もー、風茂手はいらんことばっか考えてー!」 「はいはい心愛。」 フラれても、友達、かぁ。 「風茂手!心愛!」 「「茂照兄!(茂照!)」」 「風茂手、どうだった?。」 「フラれたよ。でもー。」 「あ、ごめん。」 「だから、最後まで聞けっての!。俺と心愛は、ずっと友達。」 「ねー。」 でも、不安そうな茂照兄に俺は言う。 「もう良いんだ。不モテでも。」 「「え?」」 俺は茂照兄と心愛、両方を見つめて抱きつく。 「最っ高の兄と友がいるからね!」