今年も秋が来る
「寒っ」 思わずそんな声が漏れる。 もう秋が来たと実感する。 秋って寂しい。私が独りなことを実感させる。 だから私は秋が嫌いだ。いや、嫌いだったんだ。 私、高梨もみじは中学2年生。 いじめにあっていて、いつも1人。 手を差し伸べてくれる人など誰もいない。 「明日消えようかな」 ふと、そんな言葉が頭をよぎる。 私ってなんのために生きてるのかな。なんで生きてるのかな。 「よし」 覚悟を決めたかのようにそんな声を出した。 その日の夜はぐっすり寝れた気がした。 次の日の朝、何も考えずに、気づいたら屋上に立っていた。 冷たい風が私の体を撫でる。 覚悟を決め、ついに飛び降りる。 重力に従って落ちて行く…と思ったが、不幸にも私のクラスメイトである水野めいに止められてしまった。 そのあとしばらく沈黙が続いた。 やっとめいが口を開いた。 「辛かったよね。苦しかったよね。ごめんね。」 私は何も言わなかった。今さら謝ったところで状況は変わらないし、何か事情があったとしても少しぐらい声をかけてくれったってよかったじゃない。 「被害者ばっかり苦しんで、加害者ばっかり守るこの社会はおかしいっっ…!」 私は全力の声を張り上げた。めいが口を開く間も無く私は言葉を続ける。 「私だって必死に助けを求めた。でも先生は〝いじめられる側にも問題がある〟って。こんなにも苦しんで、闘ってるのに私に問題がある?ふざけんな。こんな世の中間違ってるっ…」 気がつくと涙がこぼれ落ちた。その涙を拭うかのようにめいが答える。 「ごめんね、ごめんねっ…怖かった、怖かったんだよぉ。…でもこれでわかった。私にはもみじちゃんがいる。いじめられったって構わない!」 その言葉を聞き終わったあと、私たちは抱き合って泣いた。 その後、いじめが無くなることはなかったけどその代わり切れることのない友情ができた。 今日は2人で紅葉を見に行く。 「あぁ、今年も秋が来た」 2人でそう呟きながら笑った。 今年も素敵な秋が来た。