目にとびこんできたものは
重いまぶたを擦る朝だった。 「すみませーん……」 「ひぇっ!?!?!?」 物陰からぬっとでてきたそいつは、青白い肌に真っ白な目。背格好はうちの父親と同じくらいだった。 「な、なんですか…」 なんとかでてきた言葉に、そいつは淡々と答えるのだった。 「驚かせてすみません。私、未来人でございます」 「はいー?未来……」 「ええ、 私は、10秒先から来た未来人なのです……」 「……ひとつ、お聞きしてもいいですか?」 「ええ、もちろん?」 どうも堅い口調だ。 「未来人──10秒先から来た未来人ということは……10秒以内のことがわかるってことですよね?」 漫画なんかで見る未来人は、だいたい未来の予言とかをしたりしているけれど…… 「ええ、そうですね。例えば2秒後に、目の前にカラスが現れることなんかは」 その瞬間、カラスが目の前を横切り、すぐ横にあるゴミをあさり始めた。 「わかるのですが」 「『わかるのですが』?」 「10.1分後のことは、わかりません」 「それって意味あるんですか」 自分が思っていたよりも言葉がするりと出たことに驚いた。 「意味、といいいますと?」 「だって……10秒以内に起きることなんて、ほぼ予想できるものじゃないかと思うんですよ……さっきのカラスだって、そのちょっと前まで電線に止まってたじゃないですか」 「ほぅ、なるほど?」 意外とすんなり納得するもんだな、と思った矢先だった。 「では、これはどうでしょう?今から5秒後──」 そのとき、目にとびこんできたものは。