短編小説みんなの答え:4

「ミライ先生、嫌いです。」

「産休の三池先生に代わってきました。大石ミクです!これからよろしくね!」 ぱっちりとした大きな目。 茶色がかったショートカット。 大好きな三池先生と変わった新しい先生の印象はー 最悪だった。 私の名前は、岡倉未来。まっすぐな名前だねって言われるけど、私本人を見てから言って欲しい。 重い前髪に肩まである髪の毛はくしでといただけ。黒縁の眼鏡はそろそろ度が合わなくなってきていた。 そんな私にまっすぐ、なんて言葉似合う訳がない。 そう、私は自覚するほどの陰キャだ。 クラスメイトが陰キャ、という目で私を見る中、三池先生だけが私を見てくれた。 「岡倉さんって本を読んでる時、すごく楽しそうにしているよね。先生も本を読むの好きなんだ。おすすめの本、教えてくれない?」 花が咲くみたいな笑顔を浮かべて微笑みかけられた時は、驚き過ぎて言葉も出なかった。この中学に私を見ている人がいるなんて。 それが例え先生でも、私には嬉すぎる事だった。 なのに。 (なんで代理があんな陽キャしか相手にしなさそうな先生なの!?私なんて存在すら認知されてないよ。) 向日葵のような笑顔でクラスのいわゆる、陽キャ、と話している大石先生。 これから昼休みだ。大石先生たちはグラウンドでドッジボールをする話をしていた。 教室に残って生徒の安全確認をしなくていいのだろうか。 もやもやする気持ちを追い払うように私は、本を開いた。 ただ一つ、許せるなら、 隣のクラスの大石くんと同じ苗字なのは、嫌いじゃないかも。 放課後。本を返すため、私は学校図書館に寄ることにした。 大石先生は、すごくいい先生だと思った。でも、苦手じゃなくなった訳じゃない。ああいう人をきっと、雲の上の人と言うんだろう。 「あ、新刊出たんだ。」 ポップ付きの帯のついた本を手に取ろうとした、その時。 「岡倉さん!」 突然声をかけられた。振り向くと、そこには、、 「大石先生…」 図書室なんて一生に合いそうにない先生がそこにいた。 「何してるんですか…」 「え、何って、本を借りに来たんだよ?先生、本好きだから。」 そう言ってニコッと笑う。 「似合わないって思ったでしょ?」 (は?何それ。陽キャだって自慢したいの?) 先生を見ると、構わず話そうとしている。 「中学生くらいの時は、私、すごく暗くて、本ばかり読んでた。明るくて自信がある人が羨ましくて。 でも、 あるとき、一人の先生に会ったの。初めはすごく苦手で。大嫌いだった。」 「ーえ?」 「こんにちは、岡倉未来さん。私、大石未来。本当はミライって読むんだけど、隠してたんだよね。 旧姓は、岡倉未来。 私、未来から来た、あなたなの。人生を素敵なものにするために、会いに来たの。」 嘘でしょ? だって、私、こんなだよ?あんなキラキラした人に、なれるの?私も? 「大丈夫だから。変われるから。頑張ってー」 そう言って笑う先生は、確かに、私に似ていたんのかも、しれない。 ついに、やっと。この時が、来た。 一年七組と書かれた教室の前に私はいる。 大石未来。23歳。新米の中学教師。 今日、この場所で私たちは- 運命を変える、”再会”を果たす。

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