短編小説みんなの答え:3

私はお守りを握りしめながら、「君を守れてよかった」

重い目を開ける。 彼が生きていることを確認すると、私は命がけで、“アレ”を掴む。 それで、私の人生は幕を閉じた。 「おはよう、佑奈!」 私は佑奈、中2。 今、おはようと声をかけてくれたのは篤志(あつし)。 「おはよう!」 私も言う。そして聞く。 「ねえ、聞いた?“漆黒車の事故”の話」 漆黒の車、つまり黒の車が、 私たちが通う虹岡中学の前で事故を起こしたという話。 その漆黒車は、そのまま姿を消してしまったそうだ。 「ああ、知ってる。衝突したのってこの学校の3年生なんだよな?」 篤志は肩をすくめた。 「これ以上、事故、起こらなきゃいいけど・・・」 その事件から、3カ月半がたった。 「一緒に帰ろう、佑奈!」 篤志が呼んでくれる。 「いいよ!」 ニッコリうなずく。 篤志と帰るのは久しぶりだ。 「これ」 ぶっきらぼうに篤志が言う。 ん?と顔を上げると、目の前には紫色のキーホルダーがあった。 オシャレで綺麗だった。 「え、まさか篤志、くれるの?」 私が聞くと、うなずく。 「わあ、ありがとう!!」 私が言うと、篤志は嬉しそうにうなずいた。 平和だったのはここまで。 信号を渡っていた。 私と篤志が横並びになっていた。 すると、私の横に大きな影ができて、 すぐに振り向く。 大きな、あの漆黒車が、そこに―― 私と篤志は、その漆黒車にひかれた。 その時は他にも生徒がいたから、漆黒車は逃げられなかった。 私の全身は真っ赤で、傷がすごく深かった。 意識がもうろうとしている。 3年生の先輩が、慌ててこっちに来る。 後から来た普通の車の運転手も来て、救急車を呼ぶ。 私は、すぐ横を見た。 篤志は幸いにも、傷は浅かった。 ――篤志の方から漆黒車が来なくて、よかった。 まずそれを安堵。 だけどもう、無理だ。 私は死ぬかもしれない、いや、死ぬと思う。 もう体は動かない。 だけど、どうしても、これだけは、天国に持っていきたい。 私はポケットに手を伸ばす。 命がけで。 とてつもない痛みが走る。 手に取ったのは、あのキーホルダー。 それをお守りみたいに抱きしめて、 私の人生は幕を閉じた。

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