気づけばほら、笑ってる
「あはは、れなって太ってるよねー!」 そう言われた。 ずーっと忘れないと思う。 その日から人が怖くなった。 もう前に出たくない… 体重は平均より少し重いくらい。 別に太ってるわけじゃないのに… 私、清川れな。いじめられてる。 友達もみんな離れていったんだ。 そんな、ある日だった。 「今日は転校生が来ます。入ってきてちょうだい」 すると入ってきたのは、長い黒髪が日本人らしさを醸し出している、美少女だった。 「白石みくりです。よろしくお願いします」 凛とした立ち振舞が美しい。キレイ、というより美しい。そんな少女だった。 私の前に座ったみくりちゃんは、私に話しかけてきた。 「よろしくね。名前は?」 「えっと…き、清川れなですっ!」 「あら、れなって可愛い名前ね。可愛らしい見た目にぴったりだわ」 可愛らしいなんて、初めて言われた。しかも絶対本心。お世辞じゃない。そうわかった。 するとみくりちゃんは隣の席のいじめの主犯である日並あいりちゃんに話しかけていた。 (みくりちゃんもあいりちゃんたちと仲良くなるんだろうなぁ) そんなことを考えていた。 みくりちゃんが来てから、1週間が経った。 毎日耐えない悪口にイライラしていたときのことだ。 「清川さん、今日空いてる?カフェによらない?」 驚いたが、今日は予定がないと言うと笑顔になった。 「じゃあ、このカフェに3時に来てね」 それだけ言って、立ち去っていった。 3時になり、例のカフェに来た。ソワソワして落ち着かない。 少し経つと、みくりちゃんが来た。制服姿なのに大人っぽく、周りの視線を集めている。 「少し遅れてごめんなさい。じゃあ、中に入りましょう」 みくりちゃんに案内してもらい、中に入った。よくこの店には来るらしい。 「このケーキを食べましょう。」 いちごケーキを頼み、届くと、二人で頬張った。 「美味しい…!」 「あら、クリームが付いてるわよ。うふふ、可愛い。」 「へっ!?ホントだ!」 「あ、笑った」 みくりちゃんの言葉に、私が頭をかしげる。するとみくりちゃんが話してくれた。 「最近元気なかったでしょう?なんだかいじめられてる、っていうのかしら。笑うことが少ないように感じたの。だから、このカフェに誘ったのよ」 その言葉に、みくりちゃんはこう言った。 「気づけばほら、笑ってるでしょう?」 思わず、笑みをこぼした。 ──ああ、この子は味方なんだな そう思い、またケーキを頬張った。