紫のクロッカス [BL]
ある花畑に、他の花に塗れて咲く、一際美しい花がありました。 紫に染まった、クロッカスです。 その意味を知るのはただ2人。 愛し合うことを許されなかった2人でした。 「なぁ、光。」 「俺はずっと、お前のこと好きだから。」 「なんだよ急に笑」 「俺もずっと、拓哉のこと好きだから。」 あたたかな風が吹く中。煌びやかな衣装を身につけた若い男が、2人、海の見える丘で寄り添っていた。 両者の指で輝く指輪は国の王家のものであることを表すものであり、デザインも色も違う。 要するに、2人は王族であり、互いに違う国の王子であったのだ。 光は拓哉を愛し、拓哉も光を愛していた。 周りからみても幸せそうで、愛し合う2人はとても美しかった。 しかし、2人が一生を共にすることは許されなかった。 「光、どういうことだ!あの魔の国の次期王子と関係を持っているとは!」 「拓哉様、どうお考えで?」 「国王様は、とてもお怒りでございます。あの底辺国の王子と隠れて会っていたとは、」 2人の関係が両国王へバレた時のこと。 拓哉は毒を盛られ、光は何度もナイフで刺された。 どんなに自分が苦しかろうと、互いを思う気持ちは変わらない。 愛しあってはいけない関係にある2人を、国王らは酷く傷つけました。 だって、それが運命だから。 最期まで互いのことを心配しあい思いあった2人は、普段よりも儚く美しかったそうです。 時間が経つと、拓哉は毒が回り、光は出血多量で死にました。 拓哉は「光を愛さなければ、互いに苦しまず済んだのに。」と後悔し、光は「必ずいつか、どこかで会える。」と自分を信じたまま。 まだまだあどけない幼さの残る2人の頬に残る涙の後には誰もが気づかないふりをした。 きっと、彼らの運の定めは誰にも変えられずわからなかっただろうけれど。 2人が亡くなり、100年以上が経ちました。 埋められたあの丘には、綺麗な花が咲き誇り、小さな花畑となっています。 咲いているのはカラフルな、見ているだけで心躍るものばかりです。 ふと見ると、新しく花が咲いていました。 朝露の映える紫色のクロッカスへ寄り添うように咲いた、黄色のクロッカスです。 2輪の花は、儚く美しい。 かつて愛し合っていた、あの2人のように。 _______________ 紫色のクロッカス=愛の後悔 黄色のクロッカス=私を信じて あきらです。 読んでいただきありがとうございました!