自分の「役割」 ※文章に近いです
「あなたの好きな物を表現しましょう」 「得意なことを紹介してください」 この課題は、私にとって最も難しいものだった。 私のように「平均ライン」の生活を送ってきた人にとっては、良いネタがないからだ。 だから、迷いなく直ぐに電車の絵を描きはじめられたり、本の絵を描きはじめられたり、「数学が得意です」と堂々といえたりすることが、とても羨ましかった。 私にも、何か特別なものがあればいいのに。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は大人になった。 見た目も整えて、性格も可愛い子の真似をした。すると、私に「特別な役割」を与えてくれる人が出来た。 その人と居ると幸福感に包まれて、どんなことでも頑張れた。 しかしその人は、「可愛い私」という存在しか好きではなかった。 それでも一緒にいたくて、私は更に女の子らしい仕草や言動、外見を心がけた。 そうすれば、その人は私のことを好きだと言ってくれる。私はそれと幸せなのだ。 ・・・でもこの役割は、果たして本当に私が求めていたものだったのだろうか。 そんな気持ちには蓋をすることにした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は、老人になった。 若い時には、本当に色々なことがあった。 あの時の短いスカートやフリフリのトップスを来た少女は、淡色のトップスにデニムを履いている。これが本来の私なのだ。 人生を思い返してみると、有名人になった訳でも、大富豪になった訳でも無かったが、私の人生はなんだかんだ楽しく、充実したものだったと思う。 だから私は伝えたい。 もし今自分を作っていて、それに違和感を感じているのであれば、本来の自分のまま生きてほしい。最低限のマナーやルールを守ったうえで自由に生きることこそ、私たちが生涯をかけて探す「幸せ」というものだと思う。