【彼女へ花束】意味怖
決め台詞を心の中で 何度も繰り返しながら、 僕は花束を抱えて彼女のところへ 会いにゆく。 花は彼女が大好きなもの、 幸せの花言葉を持ったもの。 できるだけいい花束を持っていく。 だって、僕らはこれから ずっと一緒にいられるんだから。 「ここ、だったかな?」 僕は迷いながら、 やっと彼女のいるところへついた。 「待たせた?綺麗な花を持ってきたよ。」 風が花を揺らして、 僕は彼女へとびきりの笑顔を向ける。 「やっと、僕らは ずっと一緒にいられるんだね。 本当に大変だったよ。 だって君はあの時ちょっと 嫌がって暴れてたんだもん。 まあ、暴れてたから こうなっちゃったけど…。 まあ、ちょうどよかったよ。 もう君も反抗しなくなるから。」 僕は喋らない石を前に、 彼女に届くように話し続ける。 石の下で眠った彼女へ届くように。 「愛してる。これで君も、永遠に幸せだよね。」
みんなの答え
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この星空を君に見せてあげられたら
【この小説は、もし愛知県で南海トラフが起こったら…ということを仮定して書きました。実際にこうなるかはわかりません。ご了承ください】 「ほら、一樹早く帰るよー!」 春陽が自転車にまたがったまま僕に手を振る。 僕は急いでペダルを踏む。 「もー、一樹はのんびり屋さんだなあ」 そういって頬を膨らませた後、彼女はプッと吹き出す。 僕たちは自転車をこぎだした。 僕と春陽は一年前ー…中1の夏、付き合い始めた。 あまり口数の少ない僕に対して、よくしゃべる春陽。 共通点の少ない僕らだけど、何故か惹かれあっていた。 こんなに異性を愛したのは初めてだった。 春陽の全てが愛しかった。 毎日海沿いの道を二人で並んで走った。 その日は、いつも通り蝉の鳴く、よく晴れた夏の日だった。 僕は家で英語の問題を解いていた。 春陽はその瞬間、何をしていたのだろう。 ガタン! 突然激しい揺れに襲われた。 僕は椅子からずり落ち、とっさに机の下に隠れた。 本棚が倒れ、教科書が雪崩のように落ちる。 蛍光灯が落ち、飛んできた家具で窓が割れた。 どれだけ時間が経ったのだろう。 僕は割れたガラスに気を付けながら家を飛び出した。 外は破滅的という言葉がぴったりの有様だった。 ブロック塀が崩れ、折れた標識。 あたりは避難をする人で溢れていた。 「一樹君!」 近所のお姉さんだった。 僕はその人に連れられて避難所へ走った。 その途中、僕は見た。 遠くで、真っ黒で大きな波がうずいているのを…。 必死で必死で走った。 僕は避難所で命を守り切った。 家族にも再開した。 でも、春陽の姿はみあたらなかった。 他の避難所に行ったのだろうか…。 僕は電気のつかない真っ暗な避難所で眠りについた。 ふと、目が醒めた。 窓から見える空はまだ真っ暗だった。 僕は静かに、外へ出た。 「わあ…。」 僕は夜空に広がる満天の星に目を見張った。 こんな綺麗な星空は初めて見た。 街の光が消えた今、この数えきれないくらいの星が僕を照らしてくれた。 この星を、春陽もどこかで眺めているのだろうか。 そんなことを考えながら僕は空を見上げていた。 この日の出来事を『南海トラフ巨大地震』ということ。 そして、春陽がこの日に星になってしまったこと。 これらの事を僕が知ったのは、それからしばらくした頃だった。
【恋愛短編小説】きっと。
「ほら、止まるな止まるな!あと3周!」 グラウンドに先生の大きな声が響き渡る。 「はぁ‥っ、は、はぁ‥っ」 私はクラクラするのを何とか堪えて、もう一歩を踏み出した。 「こら、そこ!喋りながら走るんじゃないぞ!」 先生が誰かに注意している。 喋る余裕がある子がいるんだ‥。 私は今もう倒れそうだというのに。 体育なんて‥それこそ、陸上なんて、大嫌いだ。 「は‥っ、あ、‥っ、はぁっ‥‥」 ‥ ‥ ‥ そのとき、颯爽と私の横を駆け抜けていった男の子がいた。 __中島颯太くん。 中学1年生でありながら、陸上部のエースとも言われている、中島くん。 私が、密かに、恋心を抱いている‥、中島くん。 中島くんは、私があとグラウンド3周もあるというのに、もうゴールしたようだった。 同じときにスタートしたとは思えない。 そのとき、後ろから、笑いながら3人の女の子が私のことを追い抜いていった。 きっと3人の話の中で笑ったんだろうけど、私に「足おっそ!」と言っているように聞こえてしまう。 これで私はクラスで1番最後尾になった。 走り終わった中島くんと、数人が、楽しそうに笑っている。 その笑いって、私のこと‥? 私の足が、遅いって‥? そう思った瞬間、私の足は動かなくなった。 膝がカクンと曲がって、手も動いてくれない。 やば、このままじゃ、顔から‥ 先生っ‥ 声が出ない。 先生は記録を取っていてこっちを見ていない。 私が1番後ろにいるせいで、誰も気づいてくれない。 どうしよう。 あぁ、このまま、私、倒れるんだ。 怪我しちゃう、だろうな‥。 「__り!!」 誰かが、何か叫んでる。 「__おり!!」 え、なに‥? 「詩織っ!!!」 私の、名前‥? 私の腕に誰かが触れる。 そのまま、引っ張られて、起き上がる。 クラッとして、まだ目を開けられない私を、優しく支えてくれる、影。 「先生!あの、詩織が‥!」 先生の走ってくる足音。 「詩織、急に倒れて‥」 みんなのざわめき。 「俺、詩織のこと、保健室‥連れて行きます」 俺‥? 男の子? 誰、今私を支えてくれてるの。 体が浮いた。 しっかりした背中に、私の体が乗っている。 「詩織。大丈夫か‥?」 私は小さく頷く。 「よかった‥。無理すんなよ」 その声が、中島くんのものに、聞こえたのは。 __きっと、私の、気のせいだ。
命の香りは恋の花
人間というものは、結局生物で、寿命というタイムリミットに向かって生きている。そして私はそのタイムリミットが人より短いようなのです。 私はごく普通の中学生。クラスのリーダーだとか、抜群にセンスがいいとか、そんな個性は一切持ち合わせていない。悲しいくらい無個性で、普通で、でも「死」というものに対する感情は普通じゃなかった。私は健康体だけど、どこか私は大人にならないうちに死ぬだろうと感覚としてわかっているようなところがあった。世の中の人は、生きている手応えを感じるなどとよく言うけれど、私にはその手応えが感じられなかった。愛もそう。私は誰かを愛したことがない。愛というものがよくわからない。受験勉強で一通り恋愛小説は読んできたけれど、辞書に書いてあるような定義を知っているだけ。きっと私は愛の喜びも生命の息吹も知らないまま人生を終えるのだろう。そんな風に思っていたある日、転機が訪れた。それは忘れもしない、2024年5月のことー 毎月行われる席替え。ただ友達と近い席に座りたいごく普通の初々しいJCを演じていく。くじを開く時もソワソワしていることにしながら。1番窓側の席だった。悪くない。あとは隣近所のやつだな。色恋好きのやつじゃなければ誰でもいい。おっ、隣の席中山君か。中山君はなかなかのイケメンで性格もいい。女子生徒の憧れの的。まあそんなことはどうでもいい。女子たちの嫉妬の目線をうまくかわして行けば問題ないだろう。 それからというもの、隣の中山君とは穏やかな関係を築いていた。中山君は喋っていてもユーモアや教養を感じさせる人だった。ある日、口語文法の活用語尾について教え合っていたとき。 「中山君、未然形にした時活用語尾がア段の時は五段活用だよ。」 「あっそうか、ねえ、あと俺たち仲良いしそろそろ下の名前で読んでくれない?ほらっ俺も薫って下の名前で呼んでるじゃん。」 「わかった。じゃあ光って呼ぶね。」 何だか照れくさくなっていた。というか中山く、いや光にとっての仲が良いのハードルはどれくらいなのだろう。光と下の名前で呼びあっている女子はいない。そう思うと、私は光にとって特別な女の子だと思われているとわかった。特別なところは何も持ち合わせていないけれど、光にとっては特別な存在なのだ。それだけで、嬉しかった。 その日の帰り道は、雨だった。帰り道を進んでいると、傘もさしてない光がいた。光の目元は水晶のような涙で覆われていた。 「薫、好きだったんだ。ずっと。薫は恋愛とか興味ないみたいだったから諦めようと思ったんだけど、でも話してれば話してるほど、気持ちが抑えられなくなって。薫、愛してる。」 その一瞬で涙が溢れていた。ああ、私の光に対する感情も、光の私に対する感情も、恋だったのか。私は光を愛しているのだ。ああ、私は人を愛せるのだ。生まれて初めて、私は恋を知り、生きるということを知った。生きているということはこれほどまでに甘美なものなのか。そして、愛とは何と尊いのか。 「うん、私も光を愛してる。私の初恋の人はあなただよ。」 それから光と抱きしめあって泣いた。梅雨、雨に濡らされた紫陽花の香り。そして夏が始まる緑の香り。この香りを私は一生忘れない。6月6日。この日は私が生きるということを知った日だった。 ・・・ いかがでしたか?短編小説初投稿なので上手くなる方法、感想など教えてください!