佐久間さん
私のクラスには、佐久間梨々という名前の、超絶美人で頭のいい、人気者の女子がいる。学年問わずモテまくり、女子も彼女を好いている。 「佐久間さーん田中が話あるってー」「梨々ちゃん、河原君が呼んでる」 今週だけで2回、呼び出しがあった。でも彼女は、どちらも断った。 モテればなんでもいいって訳じゃないよなー。そんな彼女を、今日も他のグループから眺める私。普通の顔、普通の成績。男女どっちも友達はいるけど、告白されたことは、ない。 「佐久間さん呼んでもらえる?」 今日もまた、彼女を求めて男子がやってきた。隣のクラスの、早川聖。中学の頃は仲が良かったけど、高校でクラスが離れてからはほとんど話していない。佐久間さんとの接点、あったのかな。 「佐久間さーん、呼び出しー」 早川を見た途端、彼女とそのグループがどっと湧いた。顔を赤らめる佐久間さんと、「やったじゃん!」「やっとだー」と喜ぶグループ。ああ、2人は両想いだ。その場の誰もがそう思った。確かに早川はイケメンだし頭がいい。正直言ってモテる。 「は、早川君、な、なにかな」 いつになく動揺している佐久間さんは、いつも以上にかわいい。 「あ…ごめん、こっちの佐久間さんじゃない」 「………え?」 早川の言葉に、教室に静寂が走った。 「紀香」 全員の視線が、私に向く。 「佐久間、紀香さん。話があるんですけど」 「……え?私?」 佐久間さんを敵に回すと、正直面倒なことになると思う。早川と付き合うとか、全然想像できない。 でも、私の3年間の片想いが報われるなら。 早川の下手くそな告白を、受け入れようと思った。