たった一つの大きな罪
「もうお母さんなんて嫌いだ!」 僕は日が暮れた頃に泣き叫んだ。 ただ一心に、ドアを開けて、走り続けた。 お母さんは、複雑な顔をしていた。 30分以上走り続けただろう。 僕は冷静になった。なぜか、いつもよりも冷静になった。 僕は、突然涙が出てきた。 「なんで、僕はなんでお母さんなんて嫌いなのに、なんで涙が....」 やがて、雨が降ってきた。 僕のことなど見ずに、通り過ぎていく人たち。 世界から僕が消えていく感覚に囚われた。 何分経っただろう。 自分は何時間も「そこ」にいるはずなのに、時間は経っていない。 その時 突如家に帰りたい衝動が帰ってきた。 僕の心の中で罪悪感と帰りたい気持ちがぶつかりあった。 世界の中で小さく、たった一人の僕が、立ち上がった。立ち上がろうとした。 立てなかった。 そのまま僕は「そこ」に座り込んだ。 夜になった。人の声が小さくなった。 楽しそうに笑っている家族の声が聞こえた。 「そこ」に座り込んだ僕はとてつもなく、孤独で、悲しくて、ぼろぼろな存在だっただろう。 真夜中 「そこ」に座り込んだ僕は大きな声で泣いた。泣いて泣いて泣きまくった。 涙などもう出ないと思っていたのに。まだ涙は出ていた。 真夜中の夜。どす黒い空に僕の声が消えていった。 僕を見る人は、誰もいない。 僕は、ずっと、 泣き続けた。