ずっと。
中学二年生の志々島 祈莉(ししじま いのり)は、自分の体がおかしいことに気づいた。 自分の体が透けて見える。 「どうなってるの・・・?、幽霊に、なっちゃったの・・・?」 いやな考えを吹き飛ばして、自分の家に向かった。 そこには、悲しい顔のお母さんがいた。 「まさか、祈莉が、事故で・・・。」 祈莉は、それ以上の言葉を聞きたくなくて、必死で家を出た。 次々に思い出が浮かんできた。 家族で海水浴に出かけた日。 学校の遠足でドングリを拾った思い出。 祈莉は、はっとして思いっきり走った。 向かったのは、犬葉 伊織(いぬば いおり)の家だった。 伊織は、祈莉の幼馴染で、いつも兄弟のように遊んでいた、家族のような存在だ。 また、祈莉の好きな人だった。 だから、今までで一番過ごした時間が多かった伊織に、気持ちを伝えたいと思ったからだった。 伊織の家に入る。 伊織の部屋は、二階だ。 そして、二回のドアを、開けた。 そこには、宿題をしている伊織がいた。 もちろん、私の姿は見えていないようだ。 「伊織くん、」 私が声をかけると、伊織くんが苦しみ始めた。 「なんだ、これ・・・?頭に直接、響いてる・・・、頭が、痛い・・・。」 言いたいことが言えたことはとてもうれしかったが、それによって、伊織が苦しんでいることに、 とても胸が苦しくなった。 「ごめんね・・・、伊織くん・・・。」 「頭が、痛い・・・、祈莉・・・?」 伊織くんが、私の声だということに気づいたようだ。 「うん。」 「ずっと伝えたかったんだけど・・・、 好きです。 今まで、ありがとう。」 私の言葉に、伊織くんが目を見開く。 「あり、がとう。」 伊織くんが、柔らかな笑顔になった。 私も、綺麗な笑みを浮かべて、笑った。 「ずっと、覚えてるよ。」 おしまい。