印のある彼ら
「ねえ、ピアス、開けていい?」 付き合ってすぐ、彼氏に聞くルーティン。 ダメと言われればそこで終わり。 いいと言われたら続行。 何人目かは忘れたけど、ピアスを開けたことがないという人がいた。 その彼に初めて開けてもらったのは、イヤーロブ。 初めて開ける人は怖がりだった。一番ベーシックなところに開けたんだけど 2つ目を開けたいとお願いしたら、断られてしまった。 ピアスをいっぱい開けてる人もいた。 その人に開けてもらったのはスクランパー。 耳はもういっぱいだったから。仕方なく口に開けてもらった。 彼は結構気に入ったみたいだった。彼が確か、一番長かった気がする。 友達に聞かれた。 友達といっても、前に付き合ってて別れたけどたまに会うみたいな人。 「なんでそんなピアス開けたがるの?」 わかんない 「わかんないって、何それ?理由もなく俺は四つもピアス開けさせられたわけ?」 まあ、そうだね。 「はあ、相変わらずだねぇ」 本当は、わかってる 本当は、印が欲しいの 一緒に過ごした、印 そこに存在してきた、証 ごめんね、みんな ありがとう、さようなら 存在した証を持つ彼らは、今 これから起こる事を、見守っている だって、自分が傷をつけたやつが だって、自分に傷をつけたやつが ここで、散るのだから。 耳、口、肩、眉 印のある彼らから貰った印が 登ってくる眩い光に反射する 目を閉じて光から逃れようとする。 そのまま、壁にぶち当り 散る