綺麗好きなティーカップ
あるところに、とても綺麗な模様が入ったティーカップがおりました。 それはそれは綺麗好きなティーカップで、毎回洗われるのを楽しみにしていました。 「このティーカップ、綺麗ですね」 そう言われるのが大好きでした。 そんなある日のことでした。 食器棚の中で仲間たちとお話ししていたら… 突然、地震が起きました。 棚の中は揺れ、ガチャガチャと音が響いています。 周りの仲間たちは棚の壁に当たったり、棚から出て行くなどして、ティーカップから離れていきました。 ティーカップは、一部分にヒビが入っただけで済みました。 ですが、ヒビが入っていればティーカップのお仕事はできません。 ティーカップは、持ち主に森の中に捨てられてしまいました。 段ボールの中は、とても静かでした。 仲間がいないくて、話す相手がいませんでした。 そして1番苦痛だったのは、体を洗えないことでした。 雨が降ったり、汗でグダグダになっていました。 もうあれからどれだけ経ったでしょう。 半年?1年?もう数えるのもやめました。 ティーカップはもう“綺麗”を諦めていました。 …そんなある日でした。 「お母さん!このコップ綺麗!」 「コップじゃないわよ。それはティーカップっていうのよ」 綺麗と言われたのは、いつぶりでしょう。 目を覚ますとティーカップの中には、土が入っていて、お花が生けてありました。 ジョウロから水をかけられました。 その水は、土に染み渡った後にヒビから出てきました。 こうして、綺麗なティーカップは綺麗な花を生ける植木鉢になりました。 ティーカップは、まるでお花と友達になったようでした。 綺麗好きなティーカップはさらに綺麗になったとさ。