お母さん。
わたしは孤児院で働いています。 ここの孤児院には、あなたみたいな 身内が事故や病気で亡くなって、 1人になった子や、親がわけがあって 一緒にいることができない子などがいます。 わたしは、血は繋がっていないけれど、 本当の家族のように、思っています。 もちろん、あなたもー あなたは18年前、役所の人に抱かれてやってきました。 まだ2歳だったあなたは、状況が理解できず、 お気に入りのクマのぬいぐるみを抱いて 寝ていました。 役所のものに問うと、 「この子はかなたちゃん。両親が流行り病で亡くなり、 自宅前で座っておりました。 役所で保護しましたが、身内もいなく…。 それでここの孤児院で預かって欲しいのです。」と。 私は即答しました。 「ぜひ、預からせてください!」 ってね。 役所の者からあなたを抱き受けた瞬間から、 私はあなたと家族になった。そう思っています。 わたしのことを、誰なのか知らない人を見つめて 手を握ってくれるあなたが、 愛おしくて愛おしくてたまりませんでした。 あなたが孤児院で一番下の末っ子でしたね。 年上のお兄ちゃん、お姉ちゃんと元気いっぱいに 遊んでいた姿は、とてもよく覚えています。 そして、4歳の頃、あなたは初めてわたしのことを、 「おかあさん」 と、呼んでくれました。 その時、わたしは胸が焼けるように嬉しくて、嬉しくて。 思わずあなたに抱きついてしまいましたね。 あの日ほど、嬉しかった日は人生で何度もありません。 特別な日でした。 あなたが6歳になったころ、新しく家族が増えた時、 “お姉さん”になりきって、たくさんお世話をしてくれました。 13歳、飛び級で高校生になった時は 一緒に2人で喜びましたね。 そんなように、あなたはすくすくと成長していきました。 あなたにとっては些細なことであっても、 私にとっては毎日があなたの大きな成長だったと感じます。 そして、あなたは今日。大人の階段をまた一歩上り、 大きく成長しました。 今になっても、お母さんと呼んでくれる時、 あの日のことを思い出します。 今まで通り、大人になっても、 「お母さん」 って呼んでくれますか? かなたちゃん。 大きく、すなおに、優しい子に育ってくれてありがとう。 わたしはいつでもあなたの味方です!