ゆらゆら
ああ、この感情、ゆらいでしまう── 私・春村双葉。特技はいつまでも悩むこと。 特技がしょうもなくなるぐらい、ごくごく普通の女子。 そんな私には、好きな人がいる。 佐々木会長だ。フルネームは、佐々木海斗。 同い年で、生徒会長をしている。超エリート男子だ。なぜ好きかって? ひとめぼれだよ。内緒ね? ま、好きな人の運命的な出会いもなく。平和に暮らしておりまーす。 ドンッ! 「わ、わっ!?」 「あ、わりぃ!」 「…てか、春輝じゃん!?最悪…」 「双葉!?お前なんでこんなとこにいるんだよ!お前3組だろ!」 葉月春輝。私の幼なじみだ。こいつもまた、エリート男子。だが、ちょっとふざけているところもある。 去年まではずっと同じクラスだったけど、今年初めて違うクラスになった。 「…!じゃ、邪魔。どけ」 「ふん。はいはい」 あーあ、もうやだ。最悪。会いたくなかった…。ただの腐れ縁なのに。 「あっ、春輝くん!」 「よ」 あれ…、あの子、学園のマドンナ、沙彩ちゃんだ。春輝と、知り合い? 「ねーね、葉月くんと沙彩ちゃん、また一緒にいる!」 「お似合いだよね!」 ーズキッ ズキッ?え、なんで?春輝と沙彩ちゃん、なんか、なんか、…。 「気にならないもん!」 「あは、沙彩と春輝、おはよ」 「「おはよ!」」 「今日は美歌いないの?」 美歌…。あ、超絶美少女お嬢様、美歌ちゃんか。 「よーんだっ?」 「美歌。おはよう」 「おはよう!あーあ、宿題だるかったなー」 「とか言いながら今日も満点でしょ?」 「へへ☆」 あれ、このモヤモヤは……? 会長と美歌ちゃんが仲良くしてるから? それとも春輝が……。 春輝が、知らない間に遠く離れて、知らないこと仲良くなったから? 私、春輝のこと……。好き、なのかな。 私は会長のことが好きなのに……。 好きなのかな…?いや……。 ああ、この感情、ゆらいでしまう── ゆらゆら。 「双葉!待って!」 「あ、ちょ、春輝!?」 え……? 「双葉……!」 「な、何?もううるさ」 「好きだ!」 え。 「は、春輝、ついに」 「言ったー!!」 「あいつらには、手伝ってもらってたんだ。いろいろ」 へ、え……。 「好きだ、どう?」 ゆらゆら、まだ少しだけ揺れている。 だけど……。 「私も!」 あの日から、前よりは悩まなくなった。 そして、感情が──揺れることも少なくなった。 きっと、ゆらゆらは、春輝が原因だったんだな…。