とある文学少女と美少年の小さな恋の始まり
私は、杉浦詩乃(すぎうらしの)。ごく普通(?)の中学2年生。趣味と特技は勉強、定期テストはどの科目もいつも1位。勉強が自分の生き甲斐のようなものだ。 ある日の休み時間。同じクラスの女子たちがガールズトークを楽しんでいる中、私は1人自分の席に座り、本を読んでいた。 「杉浦さん。何の本読んでるの?」 突然誰かに話しかけられた。顔を上げると、私の前に同じクラスの山本唯斗(やまもとゆいと)が立っていた。なんで、急に私に話しかけるんだろう?そう疑問に思ったが、 「大学受験についての本です。」 とだけ答えた。 「へぇ~。まだ中1なのに、大学受験のことを考えてるなんて、凄いね。」 この日、山本くんと話したのはこれだけ。でも、友達が1人もいなかった私は、少しだけでも山本くんと話せたことが、ただ嬉しかった。 しかし、山本くんは学年1のルックスに加えて、勉強や運動もできるらしくて、学校中の女子からモテているらしい。だから、私と山本くんが仲良くしているのを面白く思わない女子もいて、たまにちょっとした嫌がらせを受けることもある。けれども、私はそれでも、「周りがどう思おうが、山本くんと話したいという私の気持ちは変わらないから、これからも気にせずに山本くんと仲良くしていよう。」と思えた。 昔の私だったら、誰かに嫌がらせを受けたりしたら、すぐに落ち込んでしまっていたのに、こう思えるのはなぜだろう?それに、最近、山本くんと少しでも話すことができるだけで嬉しくて、胸の鼓動が高まるのも気になる。この感情って一体何なのだろう・・・・・・? ──────────────────────────────────────── 僕は、山本唯斗。自分で言うのもあれだが、僕はモテる。ルックスも良くて、文武両道。いつ、どこにいても、誰かしらの女子に話しかけられたりする。そういう女子たちには申し訳ないのだが・・・・・・僕は、彼女たちに恋愛感情を抱くことができない。友達として仲良くはしているし、彼女たちはみんな優しくてかわいいと思うが、どうしても恋愛だけができない理由がある。それは・・・・・・他に好きな人がいるから。 僕が今、密かに恋心を募らせているのは、同じクラスの女子・杉浦詩乃だ。杉浦さんは、すごく大人しくて人見知りなのか、休み時間はいつも1人で読書をしている。窓から注ぐ温かい春の日差しに包まれながら、一心不乱に本を読み続けている。澄んだ真っ黒な瞳は落ち着いて見えるが、本に対しての好奇心などが詰まっていて、とてもきらきらと輝いている。 そんな彼女の姿をぼうっと眺めている自分に気づき、慌てて視線を逸らす。じっと見ているだけではなく、彼女と話すことはあるが、いざ話しかけようとしたら緊張してしまい、いつもほんの少ししか話せない。それに、その後の僕は、熱風邪でもひいたのかと思うくらいに顔が熱くなっていた。 こんな気持ちになったこと、今までで初めてだから、どうしたらいいのかわからない。この感情って一体何なのだろう・・・・・・?