またあの展望台で君の笑顔を見られるなら...
俺、皐月 鈴は葉月 愛結と付き合っている。俺と愛結は今年受験生だ。俺と愛結はお互い同じ高校を受験することにしている。 ある日愛結がこう言った。 「ねぇ鈴、もし私が違う高校を受験するって言ったら?」 「え?なんで急に...」 「別に ただ率直な鈴の意見を聞きたかっただけ」 「そうだなぁ、別にLINEで繋がってるし、会えないことはないんじゃないかなって思う」 「それって...違う高校でも良いってこと?」 「うん まぁ、なるべく同じがいいけどな」 「そっ、か...」 愛結の声はやけにかすれていた。なぜかはわからなかった。 今日は愛結と展望台で流星群をみる日だ。 「愛結!待った?」 「ううん!待ってないよ!じゃ、行こっか!」 愛結はこの前のことを気にしていないようだ。 「見て!鈴!ほしー!」 子供みたいにはしゃぐ愛結はかわいすぎる。 そう思った次の瞬間、愛結がこんなことを言ってきた。 「鈴、前に聞いた質問覚えてる?」 「え...なんで?」 「あれね、本当の話なの」 「は?いや、だって同じ高校受験するって決めたじゃん」 「違うの 不可抗力なの 親がね、転勤することになって、私は嫌だったからここに残るって言ったの そしたら「そんなの自分勝手だ」って言われて断れなかった だから外部の高校を受けることにしたの」 「愛結は...本当にそれでいいのか?」 「いいわけないじゃん だけど、もう今日鈴にこの事を言うって決めたの」 俺はなにも言えなかった。信じたくなかった。嘘だと思い込みたかった。 そんな押し黙る二人を星だけが見つめていた。 -転勤する当日- 「じゃあ鈴、ありがとね」 涙ぐむ愛結の瞳を見つめ返し、 「あぁ」、としか言えなかった。 愛結は車に乗り込むと一切こっちを見ず、走り去った。俺も愛結が車に乗ったことを確認するとすぐに後ろへ歩き出した。なにも考えなかった。考えたら涙が止まらなくなりそうだったから。 でも俺は我慢できず立ち止まると大粒の涙が俺の足下(あしもと)を濡らした。声を殺して泣き続けた。ずっと、ずっと、ずっと。 途中、近くを通りすがった男友達に声をかけられ、ようやく自我を取り戻すことができた。事情を話すとまた涙が流れてきた。男友達も一緒に泣いてくれた。 またあの展望台で会おうな。愛結。