花壇と恋
君と出会ったのは、校庭の花壇だったよね。 私がいつものようにお花の様子を見に行ったら君がいたんだ。 私は君の名前も知らないし、学年も知らなかった。 きっと、君も私のこと、知らなかったでしょ? だけど、私に話しかけてくれたんだよね。 「この花、綺麗だよね。」 あのとき、びっくりしたよ。 私、知らない人と話すのが苦手だったから。 だけど、君の優しそうな笑顔をみたら、安心した。 「うん、綺麗。」 私が微笑んだら、君も微笑み返してくれた。 「名前はなんて言うの?」 私が自分で相手に名前を聞くなんて 自分でも信じられなかった。 「僕の名前は、楓太。」 私は心のなかで何回も君の名前を繰り返したよ。 忘れたくなかった。 「君の名前は?」 ビクッとした。 だけど、勇気をだして答えた。 「私の名前は、、、詩織。」 私、迷ったんだよ。 名前で言うか苗字で言うか、それともフルネームで言うか。 でも、君は下の名前しか言わなかったから、 それに合わせたんだっけ。 「素敵な名前だね。」 ありがとう。 君に褒めてもらったこの名前、 私の宝ものだよ。 「ありがとう。楓太くんの名前も素敵。」 勝手に口が動いた。 ありがとうしか言わないつもりだった。 なのに、、、、 我に戻って君の方を見たら、 照れてたよね。 それから毎日君は花壇のところに来ていた。 そして、私と話した。 そんな日々を過ごした。 そんな日々が続くと思っていた。 「有村!!」 すごく大きな声が聞こえた。 その声は外からだったけど、 校舎の中からでも十分聞こえた。 外を見たら、花壇のところに 人だかりができていた。 何が起きているのかわからなかった。 そもそも有村って誰?って思った。 そしたら、救急車が来た。 は?って思った。 なんで?って考える間もなく 答えがわかった。 花壇のところに軽自動車が 突っ込んでいた。 道路沿いのフェンスに沿って 並んでいる花壇に 軽自動車が突っ込んだんだ。 救急車に人が運ばれていった。 多分、有村って人だと思う。 あの日から君は花壇に来なくなった。 というか、花壇もつぶされて、 お花がなくなってしまった。 あとから聞いたけど、 あのとき救急車に運ばれていったのは 君、楓太くんだったんだね。 知らなかった。 名字も聞いておけばよかった。 そうしたら、 大声が聞こえたときに、 誰よりも先に君のところに行けたのに。 ごめんね。 すごく寂しかったよ。 君は病院から帰ってくることはなかった。 今は、花壇も元通りになっている。 また、一緒に花壇で話がしたいね。 あのとき、「有村!」って 大声で叫んだ人から 手紙を貰ったの。 君からだって。 どんな内容が書いてあるのか全く想像ができなかった。 君のこと、忘れようとしてたのに、 また思い出しちゃったじゃん。 思い出したら寂しくなっちゃうから。 でも、読もうって思った。 あとから寂しくなる覚悟をして 手紙を開いた。 「詩織ちゃんへ 僕、詩織ちゃんのことが好きだよ。 毎日、花壇で話ができるのが1日の幸せ。 詩織ちゃんの笑ってる顔が大好きだし、 誰よりもお花のことを愛してるところも好き。 きっと詩織ちゃんは僕なんかのこと 好きじゃないのはわかってる。 だけど、伝えたかったんだ。 大好きです。 有村楓太より」 涙が溢れた。 やっぱり読まないほうがよかったな。 そう思いながらも、手紙の返事を書いた。 「楓太くんへ 私も、楓太くんのことが好きです。 優しいところも、毎日、お花の様子を 見に、花壇に来ているとこも好き。 ごめんね。 あのとき、楓太くんと花壇を 守れなくてごめん。 でも、今は花壇が前よりも 綺麗になってるよ。 また、前のように見に来てね。 待ってます。 吉田詩織より」 ーあとがきー 結珠です! 感想とアドバイス待ってます!