愛してる
「いってきまーす」 「渚(なぎさ) 気をつけてねー」 「はーい」 いつも通りの通学路。 いつも通りの坂道。 でも、一つだけ違うところがあった。 通学路のまわりの木の桜が満開だったことだ。 そう。今日は中学3年の始業式だ。 僕には彼女がいる。 学校につくと、僕の彼女の森本雫(もりもとしずく) が待っていた。 「なぎさー!遅いよー!」 「ごめんごめん」 雫は優しいし、可愛いし、頭もいい。おまけに大金持ちだ。 こんなに可愛い人と出会えたなんて、僕は幸せ者だなぁ。 そう思いながら雫と一緒に教室へ向かった。 雫は、頭がいいので、僕が授業で分からないところがあったら、分かりやすく教えてくれる。 下校の時間になった。 「また明日、なぎさ」 「また明日な、しずく」 下校して家に帰ったら、お母さんが大慌てで僕のところへやってきた。 「渚!このニュース見て!」 「え?」 そのニュースに驚きのことがのっていた。 「今日、午後6時に、森本雫さんが大型トラックにはねられ、搬送先の病院で、死亡が確認されました」 ウソだろ!?苗字も名前も同じだ。 僕の目から、数えきれないほどの涙があふれた。 「なんで…なんで…朝はあんなに元気だったのに…」 その日の夜は、全然眠れなかった。 朝になっても、全然元気が出なかった。 学校についても、僕の名前を呼んでくれる雫はいない。 また、涙が僕の目からあふれ出た。 下を向きながら、教室へ向かった。 ふと、雫の席を見ると、なんだか雫がいる気がした。 その雫は、僕の方を向いた。 僕は、雫に 「いつまでも、ずっと、ずうっと、愛してる」 と、言われた気がした。